2000 Fiscal Year Annual Research Report
水熱処理したクロレラ等微細藻類による重金属汚染土壌修復技術
Project/Area Number |
12680574
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大木 章 鹿児島大学, 工学部, 教授 (20127989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 常憲 鹿児島大学, 工学部, 教務職員 (70284908)
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Keywords | 水熱処理 / クロレラ / アルギン酸 / ペクチン / バイオキレート剤 / 重金属汚染 / リーチング / 重金属除去 |
Research Abstract |
近年,化学工場や金属関係工場跡地等の土壌の重金属汚染が問題となることが多い。また,化石燃料の燃焼灰や都市ゴミの焼却灰埋立地,産業廃棄物処理施設からの浸出水による土壌や地下水の汚染が深刻になっている。このため汚染土壌の修復において,これまでにない高度でかつ安価な重金属分離・除去プロセスの開発が切望されている。本研究では,身近に豊富に存在するセルロースなどの多糖類やクロレラなどの微細藻類細胞よりバイオキレート剤を調製し,汚染土壌などからの重金属リーチング除去に利用することを検討する。 本年度は,まず基礎的な検討として,アルギン酸やペクチンのようなカルボキシル基をもつ多糖類を,水熱処理することにより低分子量化した。FTIR測定により,これらの糖類にはカルボキシル基が残存していることを確かめた。これらをバイオキレート剤として用いると,表面に重金属が濃縮された石炭フライアッシュや汚染土壌から重金属リーチングができるかを試験した。石炭フライアッシュからヒ素が効果的にリーチングされ,このリーチング処理を行った後は,フライアッシュから水相へのヒ素の溶出はなくなった。汚染土壌からは鉛をはじめ種々の有害重金属をリーチング除去できることを見出した。すなわち,カルボキシル基をもつ糖類が効果的なバイオキレート剤として機能することの基礎的知見を得た。また,クロレラ細胞等を水熱処理することで,低分子量化した糖類混合物を調製できることも明らかにした。 今後は,セルロースのような通常の糖類を酸化的に水熱処理することで,低分子量化とともにカルボキシル基を導入することを試みる。最終的には,クロレラ細胞のような大量培養可能な微生物細胞を水熱処理することで,強力な重金属リーチング能力をもつバイオキレート剤を調製することを目的とする。
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