2000 Fiscal Year Annual Research Report
環境ホルモン作用をもつ多環芳香族炭化水素の分解酵素
Project/Area Number |
12680576
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
峯木 茂 東京理科大学, 理工学部・応用生物科学科, 講師 (40120216)
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Keywords | 環境ホルモン / 多環芳香族炭化水素 / ピレン / ミコバクテリア属細菌 / 酸化酵素 / ベンツ[a]ピレン |
Research Abstract |
ピレン資化性細菌Mycobacterium sp.H2-5をピレンを炭素源として培養し、集菌後菌体を破砕してピレン酸化酵素を抽出した。破砕には超音波ホモジナイザー、フレンチプレス、およびマルチビーズショッカーを用い、DTT,EDTAおよびPMSF(プロテアーゼ阻害剤)を添加して行った。このうち、超音波ホモジナイザーでは菌体はほとんど破砕されなかった。フレンチプレスおよびマルチビーズショッカーに対しても本菌はかなり強固であったが通常の細菌に要する約10倍の処理回数(時間)によってかなり破砕できることが検鏡によって確かめられた。得られた菌体破砕液をフィルター除菌した粗酵素液を用いて、まず本酵素のアッセイ法を検討した。その結果、酵素活性の測定はpH7のリン酸緩衝液中30℃で1hr反応させた反応液をジクロロメタンで抽出し、HPLC分析して基質であるピレンの減少度を測定することに決定した。また、活性の発現にはNADPHかつMgCl_2の添加が必須であることが判明した。なお、酵素の基質であるピレンは菌の生育基質でもあるため破砕液中にかなりの濃度で含まれていた。これは、菌体表面や膜に吸着していたり、取り込まれていたものと考えられる。菌体破砕液を4℃、15,000rpmで15min遠心分離した上清をさらに130,000xgで60min超遠心分離して沈殿(膜画分)と上清(サイトゾル)に分けた。これらの画分の酵素活性を上記の方法で測定した結果、ピレン減少活性は膜画分に最も多く存在することが判明した。しかしながら酵素活性が微弱であり、更なる検討が必要と考えられた。
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