2001 Fiscal Year Annual Research Report
環境ホルモン作用をもつ多環芳香族炭化水素の分解酵素
Project/Area Number |
12680576
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
峯木 茂 東京理科大学, 理工学部・応用生物科学科, 講師 (40120216)
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Keywords | 環境ホルモン / 多環芳香族炭化水素 / ピレン / ミコバクテリア属細菌 / 酸化酵素 / ベンツ[a]ピレン |
Research Abstract |
本研究は、内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)作用や発がん作用を示す高分子量多環芳香族炭化水素による汚染を微生物処理によって分解除去することを目的に、Nycobacterium sp.H2-5株の産生するピレン酸化酵素を用いて分解の初発反応である基質の酸化を検討したものである。昨年の報告で本酵素が膜結合性であることが判明したので、膜画分を粗酵素として用いた。 1.ピレン酸化酵素活性への阻害剤の影響 本酵素はいわゆるゼノバイオティクスを酸化するcytocbromeP450(CYP450)あるいはそれに類似の酵素であると考えられるので、CYP450の阻害剤による本酵素活性の阻害について検討した。その結果、30℃,4hrの反応で0.02mM miconazoleによっては阻害されず、1.0mM aminobenzotriazoleによって9.3%の阻害を受けた。阻害の程度が低かったので、この結果からは本酵素がCYP450に類似の酵素であると結論できなかった。 2.酵素活性への酸化剤と電子供与体の影響 CYP450様の酵素はその活性にNADPHからの電子を電子伝達蛋白を必要とするが、精製する上ではこれらの存否に係わらずに酵素活性を測定できることが望ましい。酸化剤である1mM NaIO_4は非酵素反応的に基質を酸化してしまい、cumene hydroperoxide,H_2O_2には活性が見られなかった。また、電子供与体として1mM methyl viologenとglutathioneを添加した系では前者が低い活性を示したが、十分とは言えず、今後の検討が必要であると考えられた。
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