2001 Fiscal Year Annual Research Report
堀川水質への下水処理放流水の影響評価と汚染物質の河川中動態に関する研究
Project/Area Number |
12680580
|
Research Institution | Daido Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀内 将人 大同工業大学, 工学部, 教授 (00157059)
|
Keywords | 水質汚濁 / 現地調査 / 感潮河川 / 下水処理場放流水 / 重金属 / 富栄養塩 / 底泥 / 塩水くさび |
Research Abstract |
堀川は名古屋市の中心部を流れ名古屋港につながる感潮河川であり、上流部には名城下水処理場からの放流水が大量に流れ込む。本年度は、感潮作用を示す最上流部から名古屋港までの9地点および堀川と同じく名古屋港に流入する他河川(天白川,山崎川,庄内川,荒子川の4河川)の上流部から下流部にかけて各3地点において河川水(表層水および底層水)のサンプリングを行い、水質分析を行った。また,堀川では,エックマンパージ型採泥器を用いて底泥の採取を行った。さらに,昨年度NiおよびNH_4-Nの濃度上昇が観測された桜橋において2時間ごと24時間の定点観測を実施した。水質分析項目は前年度と同じであり,底泥については,全量重金属濃度を中性子放射化分析法で,0.1N塩酸抽出による抽出濃度をICP質量分析器にて定量した。得られた結果・結論を以下に示す。 1.名城下水処理場付近において濃度が上昇するものとして、Mn, Ni, Sb, NH_4-N, NO_3-Nが挙げられる。特にNiは、水質環境基準旧指針値の最大10倍近い高濃度が観測された。 2.桜橋において河川中Ni濃度が再上昇する原因機構として,塩水くさびがもたらすコロイド状Niの淡水域への濃縮効果が挙げられる。この考察に関しては,さらなる検討が必要である。 3.桜橋付近では,底泥中Ni濃度も極大値を示すことが明らかになった。ただし,高濃度の原因は河川水にあるのではなく,底泥の性状によるのではないかと推察した。 4.堀川下流部で濃度上昇が見られる重金属としてSeが挙げられた。他の3河川との比較から,山崎川,天白川河口部に存在する向上からの排水が海水とともに堀川に運ばれたのではないかと推察される。
|