2000 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化モチーフ特異的抗体を用いたタンパク質リン酸化解析法の開発
Project/Area Number |
12680593
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂口 和靖 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (00315053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下東 康幸 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00211293)
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Keywords | リン酸化 / 抗体 / プロテインキナーゼ / 脱リン酸化 |
Research Abstract |
タンパク質のリン酸化・脱リン酸化は、プロテインキナーゼとホスファターゼにより協同的・可逆的に調節を受けており、細胞内におけるリン酸化・脱リン酸化の解析は、タンパク質機能の制御機構の解明に必須である。本研究では、プロテインキナーゼによるリン酸化を特異的に認識する抗リン酸化モチーフ抗体の作製法を開発し、これを用いた簡便なタンパク質のリン酸化の解析法の確立を目的としている。本年度は、脱リン酸化酵素に対して抵抗性であるリン酸化セリン誘導体L-2-amino4-phosphono-4,4-difluorobutanoic acid(F_2Pab)を含むペプチドを抗原として使用するリン酸化モチーフ特異的抗体の作製法を検討した。まず、F2Pabの大量合成のための条件検討のために小スケールでの合成を実施した。次に、F_2Pab法の有効性を検証するため、癌抑制タンパク質p53に対するリン酸化部位特異的抗体の作製を検討した。p53のSer6またはSer9のリン酸化について、従来のリン酸化ペプチドを抗原として用いる方法では、Ser9の特異的抗体は作製できたが、Ser6部位のリン酸化特異的抗体の生成は確認できなかった。しかし、F2Pab法を使用したところ、Ser6リン酸化特異的抗体が優先的に生成し、アフィニティ精製によって非常に高力価の特異的抗体を得ることができた。この結果は、リン酸化特異的抗体の作製においてF_2Pab法が極めて有効であることを示している。さらに、これら作製した抗体を用いてp53のin vivoでのリン酸化状態を解析し、DNA損傷性のストレスによりSer6およびSer9の部位のリン酸化が著しく亢進することを示した。加えて、Ser9のリン酸化がSer6のリン酸化依存的にCK1によりリン酸化されることを見い出し、リン酸化カスケードによるp53制御機構を提唱した。
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