2003 Fiscal Year Annual Research Report
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12680600
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小瀬村 誠治 慶應義塾大学, 法学部, 助教授 (70231313)
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Keywords | 光屈性 / トウモロコシ / ベンゾオキサゾリノン / 光誘起生長抑制物質 / 光刺激 / 加水分解酵素 / ミロシナーゼ / 阻害剤 |
Research Abstract |
植物の光屈性発現機構は『影側の生長促進によるものなのか、それとも光側の生長抑制によるものなのか』という論争が長年続いている。報告者は、数年来、ダイコン、ヒマワリ、キャベツ、トウモロコシなどの光屈性の研究を行い、個々の植物でそれぞれ固有の光誘起生長抑制物質が関与していることを明らかにしてきた。 15年度は、光屈性発現機構の更なる解明を目指して、トウモロコシを研究材料に限定し光刺激による加水分解酵素の活性化および光誘起生長抑制物質の遊離と光屈性の関係を明らかにすることを目的とした。トウモロコシの生長抑制物質MBOAおよびDIMBOAの生合成欠損変異株は光屈性を示さないが、MBOAをラノリンペーストとして幼葉鞘の片側組織表面に投与した場合は、暗条件下においてもMBOAを投与した側に屈曲する。この屈曲はMBOAの生長抑制作用によると考えるのが妥当である。そこで、生長抑制作用を示さない前駆体(配糖体)を用いて同様な実験を行い、光刺激による加水分解酵素の活性化により投与した前駆体が加水分解を受け生長抑制物質の遊離が起こり、幼葉鞘は前駆体を投与した側に屈曲するかどうか調べた。また、トウモロコシには数種類の加水分解酵素が存在しそれぞれ重要な働きを担っていると考えられているが、光刺激により特異的にDIMBOA-glcを加水分解する酵素の活性化だけが起こるのかどうか、それぞれの加水分解酵素の活性化度を調べた。さらに、加水分解酵素の阻害剤(カスタノスペルミン等)を投与した後に光刺激を与え幼葉鞘の光屈性の有無を調べた。まだ、研究継続中であるが、この研究が計画通りに進めば、これまでの学説を覆す結果が得られるものと確信している。 また、この研究がヒントとなり、オゾン層の破壊等による気圏環境の劣化により地表での紫外線放射量(特に、UV-B)の増加によりダメージを受けた植物組織から遊離される化学物質と生態系に及ぼす影響についての研究を進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Yamada 他6名: "Induction of myrosinase gene expression and myrosinase activity in radish hypocotyls by phototropic stimulation"J.plant physiology. 160. 255-259 (2003)
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[Publications] M.Node 他8名: "Allelopathy of pinecones in Japanese red pine tree (Pinus densiflora Sieb. et Zucc.)"Weed biology and Management. 3. 111-116 (2003)
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[Publications] S.Kosemura 他2名: "Synthetic study on euphornin, a toxic diterpene from Euphorbia helioscopia L. II"Hiyoshi Review of Natural Science. 33. 1-17 (2003)
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[Publications] S.Kosemura 他2名: "Metabolites of hybrid strain derived from two different ones by means of cell fusion technique"Hiyoshi Review of Natural Science. 34. 39-51 (2003)
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[Publications] S.Kosemura 他2名: "Improved synthesis of photoaffinity reagents for labeling the auxin receptor in maize"Hiyoshi Review of Natural Science. 34. 23-37 (2003)
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[Publications] S.Kosemura: "Meroterpenoids from Penicillium citreo-viride B. IFO 4692 and 6200 hybrid"Tetrahedron. 59. 5055-5072 (2003)