2000 Fiscal Year Annual Research Report
酵母tRNAエンドヌクレアーゼのミトコンドリア局在の生理学的意義の解析
Project/Area Number |
12680609
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉久 徹 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教授 (60212312)
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Keywords | tRNA / スプライシング / エンドヌクレアーゼ / 核-細胞質間輸送 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
我々は、tRNA前駆体のスプライシングに必須なtRNAエンドヌクレアーゼ(Sen複合体)が、酵母細胞ではミトコンドリアにあることを明らかにし、tRNAのスプライシングの一部が細胞質で進行する可能性を指摘してきた。本研究は、その生理的意義について検討することを目的としている。計画調書では4つの具体的課題を設定したが、今年度はそのうち、1)Sen複合体が核とミトコンドリアの間をシャトルしている可能性はないのか、2)サブユニットであるSen2pやSen54pがミトコンドリアに局在できないことはtRNA前駆体のスプライシングに影響を与えるのか、という課題について解析を行った。本計画の進展に伴い、現在までに以下のことを明らかにした。 1)エンドヌクレアーゼサブユニットの一つSen2pのts変異株では、末端が成熟化した前駆体tRNAが細胞質に蓄積することを発見し、前駆体tRNAが核外に輸送されうることを明らかにした。 2)別のサブユニットであるSen54pをミトコンドリア外膜にアンカーしても機能は損なわれないことを見出した。これは、エンドヌクレアーゼが核-細胞質間をシャトルすることなく、ミトコンドリア外膜に常在して機能しうることを示している。 3)他方、Sen54pを強制的に核に局在させると、その機能が失われ、ミトコンドリア局在は機能にとって必須であることを示した。 以上のことは、エンドヌクレアーゼの予想外の局在が、少なくとも酵母にとっては意義のあることを示しており、今までの「RNA成熟の場としての核」という概念の変更を迫るものである。 採択が11月であったため、年度ごとの研究計画項目を一部入れ替えて進める結果となった。しかし、上記の通り計画の進行はおおむね順調で、現在、先に述べた結果の一部については投稿中である。
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