2001 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の不溶化とコンフォメーション病に関する分子論的基礎研究
Project/Area Number |
12680613
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
河田 康志 鳥取大学, 工学部, 教授 (40177697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝端 知宏 鳥取大学, 工学部, 助教授 (50263489)
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Keywords | コンフォメーション変化 / シャペロニンGroES / アミロイド様線維形成機構 / αシヌクレイン / 構造安定性 |
Research Abstract |
タンパク質の不溶化現象は,生命科学現象の中でも病気と密接に関連していることが最近明らかになってきた。本研究では,アミロイド様線維を形成するオリゴマー酵素GroESとパーキンソン病の原因タンパク質として考えられているαシヌクレインの構造変化とアミロイド線維形成についてタンパク質科学的に研究した。以下に本研究で得られた実績の概要を示す。 1.GroESの変性再生反応を分子の大きさで評価するとともに,構造的に可逆反応であるかどうかを溶液X線小角散乱を用いて詳細に調べた。その結果,高タンパク質濃度条件下ではGroESの単量体への解離は1.1M Gdn-HCIまでに安定化され,その7量体は一旦解離すると同時に変性することが明らかになった。また,変性状態から再生させたGroES7量体は構造的にも完全にフォールディングしていることが確かめられた。 2.GroES濃度が高い状態(6〜12mg/ml)で,Gdn-HCl変性させて数日間放置すると,このタンパク質はコンフォメーション変化を起こし,不溶化し,アミロイド様線維を形成することが,チオフラビンT染色や電子顕微鏡によって明らかになった。また,この線維化形成機構を2で調べた構造変化と照らし合わせた結果,立体構造が変性する構造転移領域で最も起こりやすいことが判明した。このことは,GroESのアミロイド形成反応はネイティブ状態や完全に変性した状態では起こらないことと同時に,部分的に構造形成した単量体がGroESのアミロイド様線維化反応に重要であることを示しており,この洞察は他の病因性原因タンパク質のアミロイド線維形成機構にもタンパク質科学的に重要な示唆を与えるものである。 3.αシヌクレインの線維形成は塩濃度を上昇させるとコンパクトな分子になり,高濃度でアミロイド様線維を形成することが溶液X線小角散乱によって明らかになった。
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