2001 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス細胞における貪食目印分子の出現機構の研究
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12680630
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中西 義信 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (40172358)
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Keywords | アポトーシス / 細胞貪食 / ホスファチジルセリン / 精巣 / セルトリ細胞 / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
新しい貪食目印分子の検索 その1 昨年度の研究で樹立されたモノクローナル抗体クローンPH2が認識すると予想される新規貪食目印分子について、性質と細胞内局在性を調べた。その結果、PH2抗原はタンパク質であり、細胞内の膜構造部分に存在することがわかった。さらに、その少なくとも一部はトランスゴルジに局在した。よって、アポトーシス誘導時に、トランスゴルジ→エンドソーム→細胞膜という小胞輸送を経て、PH2抗原が細胞表層に露出することが示唆された。 新しい貪食目印分子の検索 その2 アポトーシス細胞におけるリボソームの構造変化を調べた。その結果、アポトーシス後期過程で一部のリボソームタンパク質がリボソームから離脱することが判明した。さらに、いくつかのリボソームタンパク質がアポトーシス細胞表層に検出された。よって、これらのリボソームタンパク質が貪食目印になっている可能性が考えられた。 ホスファチジルセリン(PS)に依存したアポトーシス精子形成細胞貪食反応のin vivoでの証明 これまでの精巣細胞初代培養を利用した研究で、アポトーシス精子形成細胞の表層ではPSが露出し、セルトリ細胞がそれを認識して貪食することが示されていた。そこで、この反応が動物精巣内で実際に起きているかどうか検証した。そのために、PS結合タンパク質のアネキシンVを生きたマウスの精巣精細管内に微量注入して影響を調べた。その結果、で実際に起きているかどうかを検証した。そのために、PS結合タンパク質のアネキシンV注入によってアポトーシス精子形成細胞の数が10倍以上に増加することがわかった。これらは、貪食反応が阻害されたために除去されなかったアポトーシス細胞と思われた。次に、抗がん剤投与で精子形成細胞を減らした精細管にアネキシンVを注入して、精子分化回復過程への貪食阻害の影響を調べた。そうすると、アネキシンV注入マウスでは精子数が100分の1以下に減少していた。これらの結果より、PS依存的なアポトーシス精子形成細胞の貪食は動物体内でも起きており、これは精子生産に必須の反応であることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] A.Koji, Y.Hishikawa, H.Ando, Y.Nakanishi, N.Kobayashi: "Expression of Fas and Fas ligand in normal and ischemia-reperfusion testes: involvement of the Fas system in the induction of germ cell apoptosis in the damaged mouse testis"Biology of Reproduction. 64. 946-954 (2001)
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[Publications] A.Stephanou, T.M.Scarabelli ら7名: "Induction of apoptosis and Fas receptor/Fas ligand expression by ischemia/reperfusion in cardiac myocytes requires serine 727 of the STAT-1 transcription factor but not tyrosine 701"Journal of Biological Chemistry. 276. 28340-28347 (2001)
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[Publications] C.Fujii, A.Shiratsuchi, J.Manaka, S.Yonehara, Y.Nakanishi: "Difference in the way of macrophage recognition of tratget cells depending on their apoptotic states"Cell Death and Differentiation. 8. 1113-1122 (2001)
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[Publications] Y.Maeda, A.Shiratsuchi, M.Namiki, Y.Nakanishi: "Inhibition of sperm production in mice by annexin V microinjected into seminiferous tubules: possible etiology of phagocytic clearance of apoptotic spermatogenic cells and male infertility"Cell Death and Differentiation. (印刷中). (2002)
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[Publications] J.Nishida, A.Shiratsuchi, D.Nadano, T.Sato, Y.Nakanishi: "Strucutural change of ribosomes during apoptosis: degradation and translocation of ribosomal proteins in doxorubicin-treated Jurkat cells."Journal of Biochemistry. (印刷中). (2002)