2001 Fiscal Year Annual Research Report
シグナルセンサーとしてのヘムを有する転写調節因子の構造と機能に関する研究
Project/Area Number |
12680631
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
青野 重利 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (60183729)
|
Keywords | ヘムタンパク質 / 転写調節因子 / 一酸化炭素センサー / DNA結合タンパク質 / 転写制御 |
Research Abstract |
光合成細菌R. rubrum中に含まれる転写調節因子CooAは、分子中にプロトヘムを含む、これまでに全く例の無い、新規な転写調節因子である。CooAの機能発現においては、一酸化炭素が生理的なエフェクターとして機能している。CooA中に含まれるヘムは、一酸化炭素センシングにおける活性中心として機能している。本研究では、遺伝子工学、分子生物学、および各種分光学的な実験手法を用い、CooA中に含まれるヘムの構造と機能の解明を行なった。CooA中のヘムは、酸化型、還元型、CO結合型、いずれの場合も6配位低スピン構造をゆうしていた。CooAの非常にユニークな特徴の一つに、ヘムの酸化状態変化に伴うCys75とHis77間の軸配位子交換反応が進行することを見出した。パルスラジオリシス法により、本軸配位子交換反応の反応機構解析を行なった。その結果、この軸配位子交換反応は、二つの反応中間体を経て進行することが分かった。電子線照射により、まずヘム鉄が2価に還元され、Cys75由来のチオレートアニオンとPro2が軸配位した第一の中間体が生成する。ついで、Fe-S間の結合距離が伸びるか、あるいはチオレートがプロトン化することにより、第二の中間体へと変化する。第二の中間体から、Cys75とHis77間での配位子交換反応が進行し、最終産物である還元型CooAが生成することが分かった。His77をグリシンに置換したH77G変異体においても、野生型CooAの場合と同様、二つの中間体の存在が確認された。本変異体では、軸配位子交換反応は進行しないため、第二の中間体から最終生成物が生成する過程は、軸配位子交換を伴わない、ヘムポケットの構造緩和に対応しているものと考えられる。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] I.V.Rubtsov: "Conformational dynamics of transcriptional regulator CooA protein studied by subpicosecond mid-infrared vibrational spectroscopy"J. Am. Chem. Soc.. 123・41. 10056-10062 (2001)
-
[Publications] Hirohsi Nakajima: "Ligand-Switching Intermediates for the CO-Sensing Transcriptional Activator CooA Measured by Pulse Radiolysis"J. Biol. Chem.. 276・41. 37895-37899 (2001)
-
[Publications] Shigetoshi Aono: "Structure and function of the heme-based sensor proteins"RIKEN Review. 35・5. 98-101 (2001)
-
[Publications] Katuhiko Yamamoto: "Binding of CO at the Pro^2 side is crucial for the activation of CO-sensing transcriptional activator CooA. ^1HNMR spectroscopic studies"J. Biol. Chem.. 276・15. 11473-11476 (2001)
-
[Publications] Hirohsi Nakajima: "Redox properties and coordination structure of the heme in the CO-sensing transcriptional activator, CooA"J. Biol. Chem.. 276・10. 7055-7061 (2001)