2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680650
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
斎藤 稔 弘前大学, 理工学部, 教授 (60196011)
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Keywords | 熱安定性 / 分子動力学シミュレーション / 予測 / 蛋白質 / アミノ酸置換 / 並列計算機 / 並列化 |
Research Abstract |
本研究の第1の目的は、これまで筆者が開発してきた蛋白質の熱安定性の計算を行う一連の手順(アミノ酸置換->分子動力学シミュレーション->自由エネルギー計算)を自動化することであった。第2の目的は、この計算方法を並列計算機上で高速化することによって、安定性を短時間で計算することであった。第3の目的は、アミノ酸置換の方法を、様々なアミノ酸に適用できるように拡張することであった。第4の目的は、これらの手法を用いて、実験に先んじて計算を行い熱安定性を予測する事であった。 第1の目的の計算の自動化は、アミノ酸置換と分子動力学シミュレーションの実行に必要なUnixシェルを自動生成することで可能にした。更に、グラフィックユーザーインターフェースを作成することによって、自動化を進める予定である。また、第2の目的の計算の高速化は、最も計算時間のかかる分子動力学シミュレーションのプログラムCOSMOS90を、富士通VPP5000上でVPP-Fortranを使って高速化することで達成できた。更に、あらゆる並列計算機で高速に稼働するように、HPF(High Performance Fortran)2.0とMPI(Message Passing Interface)を使った並列化を進めている。第3の目的のアミノ酸置換の拡張として、これまで行われていなかった疎水性アミノ酸(Val)<->親水性アミノ酸(Thr)の置換を行って成功した。更に、複雑なアミノ酸同士の置換を行う予定である。第4の目的として計算による予測を行った。核酸結合蛋白質MYB R2ドメインについて、2つの変異体の熱安定性を実験的に先んじて計算して予測した。その結果、2つのうちの1つの変異体は予測結果が正しく、もう一つの変異体は正しくないことがわかった。後者については、予測がはずれた原因を解明した。これによって、予測精度は向上した。
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[Publications] K.Horii, 他: "Contribution of Thr29 to the thermodynamic stability of goat α-lactalbumin as determined by experimental and theoretical approaches"PROTEINS. 45. 16-29 (2001)
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[Publications] T.Ohmura, 他: "Stabilization of hen egg white lysozyme by a cavity-filling mutation"Protein Science. 10. 313-320 (2001)
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[Publications] T.Yoda, 他: "Folding-unfolding of goat α-lactalbumin studied by stopped-flow circular dichroism and molecular dynamics simulations"PROTEINS. 42. 49-65 (2001)
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[Publications] Y.Taniguchi, 他: "Structure and function of biological systems under extreme conditions"Springer. 282 (2001)