2001 Fiscal Year Annual Research Report
原子間力顕微鏡と組み換え蛋白質を使った筋分子モーター作動メカニズムの一分子解析
Project/Area Number |
12680660
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山田 武範 東京理科大学, 理学部, 教授 (50027330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国岡 由紀 東京理科大学, 理学部, 助手 (10318199)
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Keywords | ミオシン / 原子間力顕微鏡 / 単一分子計測・操作 / 一分子解析 / モータータンパク / 分子モーター |
Research Abstract |
本研究では、ミオシンヘッドにおける力発生メカニズムを解明するため、遺伝子操作によってミオシンヘッドにタグを導入し、そのタグを原子間力顕微鏡(AFM)の探針で捕らえ、微小な構造変化を、化学反応のタイミングと共に測定することを目標としている。 そのため、12年度にはAFM装置の改良、測定条件の探索を行い、タグを導入した変異ミオシンヘッドの構造変化の測定が可能となった。 13年度は、ネック部分と、アクチン結合部位の2箇所にタグを導入した変異ミオシンヘッドを用いて、高ATP濃度条件で測定を繰り返したところ、AFM探針が2nm動くのが観察された。この動きは、ATPが存在しないときには検出されなかった。従って、ミオシンヘッドに導入した2箇所のタグの間隔が、ATP加水分解に伴うミオシンヘッドの構造変化によって、2nm変化したことを示している。この結果を確認するため、AFM探針の代わりに、直径1μmのビーズを用いて、その動きを4分割フォトダイオードで検出したところ、同様の頻度で運動が見られた。このことから、AFMで観察された動きは、ATPを加水分解することにより、ミオシンヘッドが能動的に起こしていると考えられる。 これらの結果から、ミオシンヘッドは、ATPを結合するとほぼ同時に、ネック部分とアクチン結合部位の間が2nm縮むという構造変化を起こすことが示唆される。 また、このときの動きに伴い、最大で40pNの力発生も同時に見られた。蛋白質分子が、機能する際に構造変化を起こすことはよく知られているが、その構造変化に要する力が直接測定されたのは、本研究が最初である。 これらの結果について、論文を準備中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 山田武範, 若山純一, 庄原誠, 八木千春, 小野華子, 国岡由紀: "Non-linear motions of beads coated with myosin filaments sliding along immobilized single actin filaments"第5回Muscle energetics国際会議. (2001)
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[Publications] 国岡由紀, 佐々木直哉, 若山純一, 相見百々子, 須藤和夫, 山田武範: "Simultaneous detection of the ATP hydrolysis and the motions in recombinant myosin heads"第4回生物物理国際会議. 140-140 (2001)
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[Publications] 国岡由紀, 若山純一, 佐々木直哉, 大岩和弘, 須藤和夫, 山田武範: "ミオシンの化学-力学過程を原子間力顕微鏡で見る"第39回生物物理学会年会予稿集. 189-189 (2001)
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[Publications] 国岡由紀, 佐々木直哉, 若山純一, 野口裕允, 須藤和夫, 山田武範: "AFM measurements of ATP-induced movements in myosin heads"J Muscle Res Cell Motil. 23(In press). (2002)