2001 Fiscal Year Annual Research Report
サブゼロ温度下での蛋白質フォールディング初期過程の解析
Project/Area Number |
12680663
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
木原 裕 関西医科大学, 医学部, 教授 (20049076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨宮 慶幸 東京大学, 大学院・物質創生系, 教授 (70151131)
楠本 邦子(竹本 邦子) 関西医科大学, 医学部, 講師 (80281509)
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Keywords | 蛋白質のフォールディング / αヘリックス生成速度 / コンパクト化 / サブゼロ温度 / ストップトフロー / X線溶液散乱 |
Research Abstract |
蛋白質が折れたたまってnativeな構造を取るとき,ある道筋を通っていく。これをフォールディング問題という。この過程で最も重要な問いは,2次構造形成,球状化,フォールディングコアの形成の3つのフォールディングに必須な構造形成が,どの順序で起こるかという問である。 蛋白質のフォールディングの初期過程は,サブマイクロ秒から始まる。我々は,この反応を不凍液存在下で温度を下げることにより,ストップトフロー装置の測定可能時間域(数msより遅い領域)まで減速して,円偏光二色性でαヘリックスの生成を,X線溶液散乱法により球状化の速度を,トリプトファン螢光により3次構造や疎水的フォールディングコアの生成速度を観測しようと試みてきた。現在までの成果は,「(1)α-ヘリックスの生成速度は,-35℃まで下げてもまだ観測できないほど速い。(2)ウシβ-ラクトグロブリンでは,-28℃で,初期α-ヘリックス生成に続く第2のα-ヘリックス生成過程が観測された。(3)ユビキティンの場合でもウシβ-ラクトグロブリンと同様に初期のαヘリックス・バースト生成のフェイズが観測された」である。 一般にnativeな状態ではβ構造の多い蛋白質でも初期の段階でαヘリックスの生成が起こるのがかなり一般的でありうることが示唆されてきている。 以上の成果は,温度ジャンプ法で得られている知見と整合性があり,フォールディングの一般的描像を与えていると言える。また,結果的にフォールディングを低温にして遅らせ,観測することの有用性を示しているとも言えよう。
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