2001 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸間の距離の相関を考慮したタンパクの構造予測法の開発
Project/Area Number |
12680664
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Research Institution | Kurashiki University of Science and the Arts |
Principal Investigator |
菊地 武司 倉敷芸術科学大学, 産業科学技術学部, 教授 (90195206)
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Keywords | タンパク立体構造予測 / アミノ酸間平均距離統計 / 変性状態 / 有効残基間ポテンシャル / フォールディング / 残基間対相関関数 / モンテカルロシミュレーション / 実在鎖 |
Research Abstract |
2000年度までに、我々はタンパクなどの生体高分子のモデルとしてのスピン系の挙動を調べ、特にゼロフラストレーションスピン系と実際のタンパクの挙動と比較検討を行った。そしてゼロフラストレーション系はタンパクと同様平衡状態においては秩序-無秩序2状態転移、速度論的にはアレニウス型転移を示すことがわかった。さらに、ゼロフラストレーション系では基底構造形成の際、秩序構造への転移前のスピン間の相関においては、弱い相関が転移温度に近づくにつれ徐々に全体に広がるということがわかった。さらに、ハミルトニアンの2体項を対角化することによりスピンのモードを定義しハミルトニアンを書き換えると、スピン相関をモードにより解析することができる。そうすると、転移温度に近づくにつれスピン相関は最低固有値に対応するモードにより記述されることがわかった。つまり、ゼロフラストレーション系においては基底状態へ転移する際、まず最低固有値モードへスピン運動が収束していることを示している。これが、弱く全体に広がった相関が生ずる原因であると考えられる。またこの現象は、タンパクフォールディングにおいて、ネイティブ状態へ転移する前に、ネイティブトポロジーへ構造が収束していることを意味し、最近蓄積されつつあるフォールディングの実験データに対応していると思われ興味深い。スピン系の相関は高分子ではいわゆる対相関関数に対応するが、我々はすでに、タンパク残基間平均距離から導出した残基間有効ポテンシャルを用いて残基間対相関関数を計算し、BPTIの場合はネイティブ構造に対応する特定の残基対に強い相関が見られることを示している。これは、上記スピン系の挙動に対応していると考えられるが、さらにタンパクにおいても、2体ポテンシャルを対角化することによりモードを定義して、モード解析からそのネイティブ状態への転移を検討する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Gohda, D.Ohta, A.Kozaki, K.Fujimiri, I.Mori, T.Kikuchi: "Identification of Novel Potent Inhivitors for ATP-Phosphoribosyl Transferase Using Three-Dimensional Strcural Database Search Technique"QSAR. 20. 143-147 (2001)
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[Publications] H.Yajima, M.Morita, M.Hashimoto, H.Sashiwa, T.Kikuchi, T.Ishii: "Complex Formation of Chitosan with Iodine and Its Structure and Spectroscopic Properties-Molecular Assembly and Thermal Hysteresis Behavior"International Journal of Thermophysics. 22(4). 1265-1283 (2001)