2002 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸間の距離の相関を考慮したタンパクの構造予測法の開発
Project/Area Number |
12680664
|
Research Institution | Kurashiki University of Science and the Arts |
Principal Investigator |
菊地 武司 倉敷芸術科学大学, 産業科学技術学部, 教授 (90195206)
|
Keywords | タンパク立体構造予測 / アミノ酸間平均距離統計 / 変性状態 / 有効残基間ポテンシャル / フォールディング / 残基間対相関関数 / モンテカルロシミュレーション / 実在鎖 |
Research Abstract |
本研究はタンパクの新しい立体構造予測法を構築するための基本的な原理を探ることを目的としたものである。本研究ではおおまかに二つのテーマを取り扱った。一つは、タンパク構造形成の特徴が最小フラストレーション効果によるものという前提に立ち、理想的なゼロフラトレーション系としてのスピン系の物理学を検討することによりタンパク構造形成の原理を探るものである。もう一つは、そのようにして得られたスピン系の挙動についての知見を念頭におきながら、タンパクの変性状態のシミュレーションを簡略化ポテンシヤルに基づいて行い、残基対の相関を検討することにより、タンパク構造形成の具体的な機構を探り、さらにタンパク立体構造予測への応用の可能性を検討するものである。本研究における実績は次のようにまとめられる。(1)ゼロフラストレーションスピン系においては、構造形成における転移温度において弱く全体に広がった対相関が重要である。(2)全体に広がった対相関はある特定のモードに運動が集中していることに対応する。(3)実際のタンパクシミュレーションでは天然構造に対応する残基対相関がある温度領域において重要となる。(4)この残基対相関は特定モードの運動と思われ、天然構造のコンタクトに対応する残基対相関が特に強いことが見られる。これらの実績は、変性状態においてある温度条件においては天然構造へ転移する可能性すなわち、タンパク立体構造予測法の確立の可能性を強く示唆するものである。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] T.Kikuchi: "Contact maps derived from the statistics of average distances between residues in proteins. Application to the predictioxfof structures and active sites of.proteins and peptides"Recent Research Developments in Protein Engineering (Research Signpost, India). 2. 1-48 (2002)
-
[Publications] T.Murata, Y.Yoshikawa, T.Hosaka, K.Takase, Y.Kakinuma, I.Yamato, T.Kikuchi: "V Nucleotide Binding Sites in V-type Na^+-ATPase from Enterococcus hirae"Journal of Biochemistry. 132. 789-794 (2002)
-
[Publications] Takehiro Ichimaru, Takeshi Kikuchi: "Analysis of the Differences of the Folding Kinetics of Structurally Homologous Proteins based on the Predictions of the Gross feature of the Residue Contacts"Proteins : Structure, Function and Genetics. (in press). (2002)
-
[Publications] 菊地武司: "残基間平均距離統計に基づくコンタクトマップによるHis合成酵素のドメインの位置の予測"第2回日本蛋白質科学会年会講演予稿集. IP-137-IP-137 (2002)
-
[Publications] 菊地武司: "残基間平均距離統計に基づくコンタクトマップによるドメインの位置の予測-α/βタンパクへの応用"日本生物物理学会第40回年会予稿集. S54-S54 (2002)