2001 Fiscal Year Annual Research Report
RNAポリメラーゼIIのリン酸化CTDに結合する新規蛋白質の機能解析
Project/Area Number |
12680672
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
広瀬 豊 金沢大学, がん研究所, 助手 (00218851)
|
Keywords | 遺伝子発現 / 転写 / mRNAプロセシング / リン酸化 / RNAポリメラーゼII / WWドメイン / 細胞周期 |
Research Abstract |
RNAポリメラーゼII(Pol II,最大サブユニットC-末端領域(CTD)は保存された7アミノ酸配列の繰り返しからなり、リン酸化を受けることによってmRNAプロセシング因子と特異的に相互作用し、転写後のmRNA成熟過程にも重要な役割を担っていることが明らかになってきている。本研究は、mRNA生合成過程の協調機構解明にアプローチするために、リン酸化CTDに結合する新規核蛋白質の同定とその機能解析を目的としている。これまでに、ヒト新規核蛋白質PCIF1、細胞周期、mRNAスプライシングに各々関与するPin1、FBP11が、これらの蛋白質中に共通して存在しているWWドメインを介してリン酸化CTDと特異的に結合することを見出している。今年度の実績は以下のとおりである。(1)ヒト培養細胞に於いて、遺伝子発現のトランス活性化がPCIF1の発現量に相関して強く抑制されるが、リン酸化CTD結合能が減弱したWWドメイン点突然変異体では抑制能が解除されることが観察された。(2)PCIF1の細胞内ターゲットを、酵母two-hybrid法、アフィニティー・ダグ免疫沈降法及びGST-WW蛋白質を用いたpull-down法によって検索し、候補因子が得られたので検証中である。またPCIF1がリン酸化蛋白質を標的にし、更にPCIF1自身が細胞周期特異的なリン酸化を受けていることが示唆された。(3)CTD7アミノ酸配列中、2番目(Ser2)及び5番目(Ser5)のセリン残基が細胞内に於ける主なリン酸化部位であるが、PCIF1及びPin1のWWドメインが、どちらか一方のリン酸化を区別して認識出来るかを検討した。リン酸化部位の違うCTDペプチドを用いた結合実験に於いて、PCIF1のWWが、Ser5リン酸化とSer2リン酸化に対し異なるアフィニティーを示したが、Pin1のWWドメインは両者を区別しなかった。
|