2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680687
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
濱口 幸久 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (70016161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 節子 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教務職員 (30242267)
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Keywords | ウニ卵 / 細胞内Caイオン / 細胞内pH / 重合 / 精子頭部 / 星状体 / 中心体 / 微小管 |
Research Abstract |
本研究では、中心体を含むウニ精子頭部を未受精卵に導入して、細胞内pH(pHi)を変化させることにより精子星状体の形成の有無について調べた。ウニには、タコノマクラ(Clypeaster japonicus)を用い、精子から鞭毛を除いた頭部を用意した。精子頭部を導入した未受精卵をこのまま放置しても、精子星状体は形成されない。次いで、この未受精卵のpHiを上昇させると、導入した頭部を中心として精子星状体が形成され、卵前核がそれに向かって移動する運動がみられた。これは受精膜形成はみられないが、正常の受精と同じ現象である。pHiを上昇させるには、外液を酢酸アンモニウムを含む海水にする方法とpHの高いpH bufferを卵内に注入する方法の2通りを行った。細胞内Caイオンの増加は、頭部導入時においても、pHi上昇時においてもみられなかった。このことから、精子頭部導入卵においてCaイオンの増加がなくてもpHiを上昇させるだけで精子頭部内にある中心体を活性化させ、微小管重合を引き起こさせ、ついには精子星状体を形成させることができることが分かった。また、未受精卵に精子頭部を導入し、Ca Activator (Ca ionophore、Ca buffer injection)で細胞内Caイオンを増加させると、精子星状体を形成した。この場合は分裂するものもあった。さらに、受精卵に精子頭部を導入すると、精子星状体を形成し、多精時の分裂を示した。後者2つの結果は、細胞内Caイオン増加を介して細胞内pHが増加すると、細胞内Caイオンの増加がない場合と同様、精子頭部内にある中心体が活性化し、精子星状体形成にいたることが分かった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hamaguchi, Y., R.Kuriyama: "Effects of phosphatase inhibitors on the dividing sand dollar eggs"Cell Struct. Funct.. 27. 127-137 (2002)
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[Publications] 浜口幸久: "卵細胞における分裂位置の決定"生体の科学. 53. 186-190 (2002)
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[Publications] 浜口幸久ほか: "細胞生物学実験法"広川書店. 106 (2002)