2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680693
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
前川 みどり 理化学研究所, 高次構造形成研究グループ, 専門職研究員 (70314185)
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Keywords | Rho / ROCK / Y-27632 |
Research Abstract |
低分子量G蛋白質Rhoにより活性化されるリン酸化酵素ROCKの下流に存在する新規標的蛋白質を、2次元電気泳動法を用いて、検索を行った。Swiss3T3繊維芽細胞は、Rho/ROCK経路を活性化させるLPA依存的にアクチン細胞骨格の再構築(ストレスファイバーと細胞接着斑の形成)を誘導する。この細胞系におけるROCKの基質を検索するために、LPA刺激後のTritonX-100可溶性画分と不溶性画分を調整し、2次元電気泳動を行ったところ、特異的にリン酸化される約25KDaの蛋白質を見い出した。TritonX-100可溶性画分と不溶性画分でのリン酸化シグナルの強さや検出される確率を考え合わせると、この25KDaの蛋白質は、可溶性画分においてリン酸化され、リン酸化されたことによって、不溶性画分に移行する可能性が考えられた。いくつかの方法を用いて、この蛋白質の部分精製を検討したが、主に不溶性画分に存在しているため、部分精製は困難であると判断した。確実な同定を行うために十分な蛋白量は得られなかったが、その等電点と質量分析での微弱なシグナルのパターンから、25KDaはミオシン軽鎖(MLC)であると思われた。そこで、その分析結果を確認するため、MLC抗体を用いてウェスタンブロットを行ったところ、25KDaがMLCであることが明らかになった。MLCは、ROCKの基質として既に報告されているが、Swiss3T3と同じくLPA依存的にRho/ROCKが活性化されるN1E115神経芽細胞腫では、不思議なことに、MLCのリン酸化シグナルは検出できなかった。 残念ながら、今回の検索では、ROCKの新たなリン酸化基質の同定には至らなかった。しかし、MLCのリン酸化など見えるべきシグナルは再現性よく検出できているので、この方法は検索システムとして有効に機能している。今後、LPAによって誘導される細胞の表現型が異なるような細胞、例えばprimaryの培養細胞系等を用いて、再度検索するのは充分意義があることだと考えられる。
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