2001 Fiscal Year Annual Research Report
イモリ卵ジェリー層中に存在する精子運動開始因子の解析
Project/Area Number |
12680710
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鬼武 一夫 山形大学, 理学部, 教授 (80089846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 宏之 (株)機能性ペプチド研究所, 主任研究員
渡辺 明彦 山形大学, 理学部, 助手 (30250913)
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Keywords | 受精 / 精子運動開始 / 卵ジェリー層 / 両生類 |
Research Abstract |
本研究は、イモリ類の体内受精様式に適応した精子運動開始因子(SMIS)を探索するとともに作用機序を明らかにすることを目的とする。昨年、イモリ卵ジェリー層からSDS-PAGEによって精子運動開始因子を分離した。本年度は候補となるバンドについてアミノ酸配列の解読を試みたが、夾雑タンパク質のため十分な情報が得られなかった。ジェリー層は輸卵管で卵に付加されることからSMISは排卵を誘発させたイモリの輸卵管で特異的に合成されると考えられる。そこで、この輸卵管に特異的に発現するmRNAの解析からSMIS遺伝子の単離を目指し、排卵誘発前(+)及び誘発後(-)の輸卵管に由来するcDNAライブラリーを作成した。その結果、平均鎖長が(+)ライブラリーで約1.5kb、(-)ライブラリーで約1kbのcDNAを含みライブラリーサイズが100万を越えるcDNAライブラリーを作成した。このライブラリーからサブトラクション法によりSMIS遺伝子の単離が期待される。 一方、SMISの作用機序を調べるためにCa^<2+>チャネル阻害剤のベラパミル及びK^+チャネル阻害剤のカリブドトキシンを用いて、測定値から再構成された生理的なイオン濃度及びpH下でのイモリ卵ジェリー抽出液による精子運動開始に対する作用を調べた。その結果、ベラパミルによって濃度依存的に精子運動の開始が阻害された。また、カリブドトキシンによって濃度依存的に早い次期での精子運動が阻害されたが、時間の経過とともに運動精子が観察された。運動開始はSMISによって迅速に誘導されることから、これらの結果は、Ca^<2+>チャネル及びK^+チャネルがSMISの下流で精子の運動開始に関与することを示唆する。また、精子の運動パターンの解析から、イモリ精子において、SMISの作用機序が、体外受精様式をとる両生類の精子運動開始を担う浸透圧の低下の作用機序と異なることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Okimura, A.Watanabe, K.Onitake: "Organization of carbohydrate components in the egg-jelly layers of the newt,Cynops pyrrhogaster"Zoological Science. 18. 909-918 (2001)
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[Publications] T.Sasaki, S.Kamimura, H.Takai, A.Watanabe, K.Onitake: "The activity for the induction of sperm acrosome reaction localises in the outer layers and exists in the high molecular weight components of egg-jelly of the newt,Cynops pyrrhogaster"Zygote. 9(印刷中). (2001)
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[Publications] T.Itoh, S.Kamimura, A.Watanabe, K.Onitake: "Egg-jelly structure promotes efficiency of internal fertilization in the newt,Cynops pyrrhogaster"Journal of Experimental Zoology. 290. 314-322 (2002)