2001 Fiscal Year Annual Research Report
ウズラの羽毛色素パターン形成機構に関する発生遺伝学的研究
Project/Area Number |
12680711
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
塩尻 信義 静岡大学, 理学部, 教授 (70162568)
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Keywords | 黒色初毛致死突然変異 / メラノサイト / メラノブラスト / 羽毛芽色素パターン / Mitf / ウズラ |
Research Abstract |
ウズラ背部羽毛列には黒、黄色からなる縦縞色素パターンがあるが、その形成機構を、色素パターンが激変する黒色初毛致死突然変異体(Bh)を用いて明らかにすることが本研究の目的である。 本年度はまず、RDA(Representational Difference Analysis)法により既に単離したBh遺伝子の連鎖マーカー(MHD1 B3)の組換え率が5/535であり、染色体上での両遺伝子座間の距離が0.9cMであることをもとめた。またHindlll、EcoRl、BamHlを用いて新たにRDA法を行ったところ、Hindlllを用いた場合に、確実な連鎖マーカーを1個、若干怪しい点もあるがさらに1個得た。これらはBh遺伝子をクローニングしていく上で重要になると考えられる。EcoRl、BamHlを用いたRDAでは、今回、連鎖マーカーは得られなかった。 次に、Bh各遺伝子型胚の発生過程で、羽毛色素を合成するメラノサイト(メラノブラスト)の分化・増殖に関係する因子(Mitfタンパク質、Kitl、Kit、Mmp115、Tyrp1、Dct、Tyr、Ednr B2)の発現を、免疫組織化学あるいはin situ hybridization法により解析した。Mitfタンパク質とEdnr B2は発生の非常に早い時期から全てのメラノブラスト(発生が進むとメラノサイトでも)で発現していたが、その発現が黒、黄色の羽毛色素パターンに対応することはなかった。Kitlは羽毛芽の表皮細胞で、Kitは発生の進んだメラノブラスト、メラノサイトで発現した。しかし、これらの遺伝子の発現も各遺伝子型によって差はなく、Bh遺伝子の作用点がこれらの遺伝子の作用とは独立であることを示唆している。TyrとMmp115の発現は、黒色、黄色メラノサイト両方ともに陽性だったが、Tyrp1、Dctの発現は黒色メラノサイトに特異的であった。ホモ型では、羽毛芽のメラノサイト全てがTyrp1、Dct陰性で、これよりBh遺伝子は羽毛芽の黒色メラノサイトの分化に関係すると考えた。
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