2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680725
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
下野 明彦 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (10321605)
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Keywords | オーガナイザー / 頭部形成 / Lim1 / 転写因子 / 下流遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は、頭部オーガナイザーで頭部神経組織の誘導に関わる遺伝子カスケードを明らかにすることを目的とする。このために、頭部形成を制御するLim1転写因子の直接、叉は間接の下流遺伝子の単離・機能解析を進めている。 Lim1転写因子のマウス変異体では、頭部構造が欠損する。そこで、本来Lim1の発現が認められる時期(原腸陥入期)の野性型胚とLim1変異体の内・中胚葉について、遺伝子発現の比較を、サブトラクション法によって行った。これにより、Lim1変異体の内・中胚葉で発現が低下する新規遺伝子Stomaを得た。Stomaの発現は、原始内胚葉(primitive endoderm)及び前腸を形成する内胚葉(definitive endoderm)で認められた。また、X染色体に位置することも明らかとなった。BACライブラリーよりゲノム クローンを入手し、翻訳開始メチオニンをコードするエクソンを含む約12kbpの断片を単離した。このDNA断片をもとに、一部エクソンを欠損しフレーム・シフトを生じるタイプと、同じエクソンをLoxP配列ではさみCre組み換え酵素により組織特異的に変異を導入できるタイプ(組織特異的遺伝子組み換え)のベクターを構築した。それぞれのベクター遺伝子をES細胞に導入し、組み換えES細胞株を得た。さらに、生殖系列キメラを得ることで、変異マウスを得た。現在、変異マウスの約半分は、着床直後に致死となると推定している。また、表現形について、詳しい解析を進めている。加えて、ES細胞がXYのオス型の核形であることから、4倍体胚盤胞を用いたキメラ解析を行った。その結果、約半数のキメラ胚が終脳の形成抑制を示した。このことから、前腸を形成する内胚葉(definitive endoderm)において、Stoma遺伝子が終脳形成に関わると思われる。
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Research Products
(1 results)