2001 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系回路網およびシナプス形成に関与する細胞膜関連分子の同定と機能解析
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12680728
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Research Institution | Tokyo Medical & Dental University |
Principal Investigator |
井上 明宏 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80322080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 繁男 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60204012)
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Keywords | 網膜-視蓋投射 / 組織培養系 / 細胞接着分子 / シナプス形成 / GFP / カドヘリン / アデノウイルスベクター / 層特異性 |
Research Abstract |
本研究の代表者、分担者らは、中枢神経細胞間でのシナプス後部に特異的に存在して膜を裏打ちすることで知られるPSD95やZip45、あるいは前部に存在するシナプス小胞のたんぱく質(synaptophysin)などを、遺伝子工学的に蛍光たんぱく質(GFP)で標識することによって、げっ歯類胎児海馬由来神経細胞の分散培養系において、生きた状態でシナプスを可視化し、その経時的変化を解析してきた。 本研究では、同様な解析を、より生体内に近い神経連絡を保った状態で観察し、かつシナプスの形成、維持に重要だと示唆されているN-カドヘリンの機能を調べる目的で・海馬スライス培養系を確立を目指した。マウス胎児海馬スライスを多孔膜上に静置して1〜3週間培養して、アデノウイルスを用いてGFP遺伝子を発現を試みた。しかし、標識の輝度がシナプスの動態の詳細を観察するには不十分であったため、回転培養系へと変更することによって、アデノウイルスの感染効率が、特に培養1週目あたりの培養の早期で改善した。また、二光子励起蛍光顕微鏡を用いた観察の際のバックグラウンドも下がったため、樹状突起中の棘突起における、蛍光分子が観察できるようになった。そこで、PSD95-GFP、Zip45-GFPを発現させたところ、ほぼ分散培養系と同様のシナプス部位への集積と、動態をとることがわかった。遺伝子発現のさらなる効率の上昇を目指し、シンドビスウィルスベクターを試したところ、海馬スライス中で、主に神経細胞において、感染後強い発現が見られた。これらの培養、遺伝子導入、観察法を用いて、シナプス形成、維持におけるN-カドヘリンの役割を調べる目的で、N-カドヘリン分子の、ホモフィリック結合阻害ペプチドの投与や、N-カドヘリンの細胞内領域に結合するタンパク質の結合阻害ポリペプチドの細胞内導入などの実験について準備中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Okabe, S., Umshido, T., Konno, D., Okado, H., K.Sobue: "Rapid redistribution of the postsynaptic density protein PSD-Zip45(Homer 1c)and its differential regulation by NMDA receptors and calcium channels"Journal of Neuroscience. 21,2. 9561-9571 (2001)
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[Publications] Okabe, S., Miwa, A., H.Okado: "Spine formation and correlated assembly of presynaptic and postsynaptic moelcules"Journal of Neuroscience. 21,1. 6105-6114 (2001)
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[Publications] Umeda, T., S.Okabe: "Visualizing synapse formation and remodeling : recent advanced in real-time imageing of CNS synapses"Neuroscience Research. 40. 291-300 (2001)