2000 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病モノアミン神経系の細胞分子レベルにおける組織化学-剖検脳を用いての研究
Project/Area Number |
12680740
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
西村 明儒 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (60283561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 克治 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60073681)
澤田 誠 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教授 (10187297)
尾崎 紀夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40281480)
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Keywords | モノアミン / 精神分裂病 / セロトニン2Aレセプター / チロシン水酸化酵素 / 芳香族アミノ酸脱炭酸酵素 |
Research Abstract |
精神分裂病でのモノアミン神経系の異常を明らかにするために、これまでに側坐核、黒質、前帯状回、上前頭回等におけるチロシン水酸化酵素ならびに芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素に対する抗体を用いて免疫組織学的にモノアミン神経系の正常状態におけるこれらの酵素の分布を明らかにしてきた。本年度は従来の知見に加えて、健常者の延髄でのチロシン水酸化酵素、芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素およびフェニルエタノラミン-N-メチルトランスフェラーゼの分布を調べるとともに、黒質におけるセロトニン2Aレセプターの分布を調べた。延髄のC1アドレナリン作働性領域では、チロシン水酸化酵素陽性のニューロンが最も多く、芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素はフェニルエタノラミン-N-メチルトランスフェラーゼよりも多く認められた。共焦点レーザー顕微鏡を用いた蛍光二重染色では、チロシン水酸化酵素陽性ニューロンでフェニルエタノラミン-N-メチルトランスフェラーゼを持つものと持たないものの両方が存在することが明らかとなった。このことからヒトの延髄のC1アドレナリン作働性領域では、カテコールアミン作働性でないニューロンが混在していることが明らかとなった。ヒトの腹側被蓋野および黒質でチロシン水酸化酵素とセロトニン2Aレセプターの分布を調べたところ、多くのニューロンで両者ともに陽性を示した。このことから中脳におけるドパミン作働性ニューロンは強くセロトニンの調整を受けていることが明らかになった。来年度は、精神分裂病患者剖検脳においてこれまでと同様の検索を行い、今までの知見をもとに健常者と精神分裂病患者との比較を行い両者の相違を明らかにする予定である。
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[Publications] K Ikemoto,A Nishimura,N Okado,M Mikuni,K Nishi,I Nugatsu: "Human midbrain dopamine neurons express serotonin 2A receptor : a immunohistochemical demonstration"Brain Research. 853. 377-380 (2000)
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[Publications] K Ikemoto,R Amano,A Ishibe,A Nishimura,K Nishi,I Nagatsu: "Quantitative analysis of tyrosine hydroxylase-, aromatic L-amino acid decarboxylase- or phenylethanolamine-N-methyltransferase- immunoreactive neurons in the human medullary C1 region"Acta Histochem Cytochem. 33(4). 259-265 (2000)
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[Publications] A Nishimura,S Sawada,I Ushiyama,Y Yamamoto,T Nakagawa,A Tanegashima,K Nishi: "Lectin-histochemical detection of degenerative glycoconjugate deposits in human brain."Forensic Sci Int. 113(1-3). 265-269 (2000)