2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規神経再生調節因子酸化型ガレクチン-1による神経損傷後の機能回復促進効果
Project/Area Number |
12680758
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
堀江 秀典 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80046135)
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Keywords | 末梢神経再生 / 酸化型ガレクチン-1 / マクロファージ / シュワン細胞 / 機能回復 / 促進因子 |
Research Abstract |
末梢神経損傷後の初期過程において軸索再生を調節する因子は不明であったが、我々は酸化型ガレクチン-1がその調節因子であることを明らかにした。しかし、損傷後再生軸索や活性化されたシュワン細胞から放出された酸化型ガレクチン-1がどのように神経再生を促進するのかは不明であった。本年度はまず酸化型ガレクチン-1の標的細胞が何であるのかを明らかにし、その作用機序を解明する。酸化型ガレクチン-1による損傷後の末梢神経再生促進・機能回復を実現させる基盤を作る。。 酸化型ガレクチン-1の標的細胞を見つけるために蛍光ラベルされたリコビナントヒトGAL-1/Ox(rhGAL-1/Ox)によりシュワン細胞、マクロファージなどの標的細胞候補の標識を試みた。その結果マクロファージが蛍光標識され標的細胞であることが判明した。更にrhGAL-1/Oxによりマクロファージを刺激するとマクロファージは末梢神経再生を強く促進する因子を分泌することを見いだした。 以上の結果末梢神経損傷後の酸化型ガレクチン-1を起点とした神経再生のカスケードは以下のように行われていると考えられる。(1)損傷後細胞内で還元状態にあるGAL-1は再生組織中の再生軸索成長円錐や活性化されたシュワン細胞から分泌される、(2)体液中に分泌された還元型ガレクチン-1は体液中で酸化され酸化型ガレクチン-1となる、(3)この酸化型ガレクチン-1はマクロファージを刺激しマクロファージから末梢神経再生を促進する因子の分泌を促進する、(4)この分泌因子により軸索再生が促進される。 この作用機序をベースに最終年度は坐骨神経切断モデル動物にrhGAL-1/Oxを作用させる方法を確立し、機能回復に対する効果を明らかにする計画である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Inagaki Y,Sohma Y,Harie H,Nozawa R and Kadoya T: "Oxidized Galectin-1 promotes axonal regeneration in peripheral nerves but does not possess lectin properties."Eur.J.Biochem.. 267. 2955-2964 (2000)
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[Publications] Horie,H and Kadoya.T.: "Identification of oxidized galectin-1 as an intial repair regulatory factor after axotomy in peripheral nerves."Neurosci.Res.. 38. 131-137 (2000)
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[Publications] Shuto T,Horie H,Hikawa N,Sango K,Tokashiki A,Murata H,Yamamoto I, and Ishikawa Y.: "IL-6 upregulates CNTF mRNA expression and enhances neurite regeneration."Neuro Report. (in press). (2001)
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[Publications] 堀江秀典: "神経再生を促進する新たな神経活性化因子"神経研究の進歩. 44. 453-462 (2000)
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[Publications] 堀江秀典,門屋利彦,稲垣好昌,相馬良明: "新しいタイプの神経再生促進物質酸化型ガレクチン-1"生化学誌. 72. 1245-1249 (2000)
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[Publications] 堀江秀典: "神経再生と神経栄養因子"特集「神経再生と機能修復」Clinical Neuroscience. 18. 19-22 (2000)