2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞-アストロサイト間相互作用の新たな地平:L-セリンの神経栄養活性
Project/Area Number |
12680764
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
古屋 茂樹 理化学研究所, 神経回路メカニズム研究グループ, 研究員 (00222274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大須賀 壮 理化学研究所, 神経回路メカニズム研究グループ, テクニカルスタッフ(研究職) (10332321)
古金谷 綾子(香山 綾子) 理化学研究所, 神経回路メカニズム研究グループ, 研究員 (70312270)
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Keywords | グリア / ニューロン / アミノ酸 / 栄養因子 / 細胞間相互作用 / セリン / 遺伝子発現制御 / 小脳 |
Research Abstract |
平成13年度は主に3種類のプロジェクトを遂行した。まず動物細胞でのL-セリン合成を触媒する酵素3PGDHのアストロサイト特異的な転写制御機構を明らかにすることを目的に、マウス3PGDH遺伝子5'-上流非翻訳配列でアストロサイト特異的な発現調節を支配している領域を検討した。同遺伝子5'-上流非翻訳配列の段階的な欠失体をレポーター遺伝子につなぎ、その転写活性を検討することによって、転写開始点から1.8kbから1.6kbにある約200bpの配列がアストロサイトでの高い転写活性に必要であることを明らかにした。この配列にはアストロサイトから抽出した核蛋白質が結合することをゲルーシフトアッセイで確認した。現在、蛋白質が結合する領域をフットプリンティング法で検討している。また、トランスジェニックマウスを作成し、これらの領域がin vivoでもアストロサイト特異的なプロモーター活性を持つか否か組織学的に検討している。次に、中枢神経細胞のL-セリン依存的な生存が、その合成酵素である3PGDHの発現欠損に起因することを証明するために、神経細胞に異所的に3PGDH cDNAを強制発現させるトランスジェニックマウスの作製を行った。小脳プルキンエ細胞特異的L7プロモーター支配下で3PGDH cDNAを発現するように発現ベクターを構築し、さらにバイシストロニックにGFPを発現できるようにした。現在、トランスジーンを持つ14系統のマウスが誕生しており、プルキンエ細胞特異的に3PGDH蛋白質を発現している系統を選択中である。また、マウス3PGDH遺伝子の塩基配列解析の結果をもとに、相同組み替えによる遺伝子破壊を起こすためのターゲッティングベクターを2種類構築した。今後、それらを相同組み替えを起こした胚性幹細胞の作成に用いる予定である。
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[Publications] Sugishita H, Mitoma J, Furuya S et al.: "L-Serine regulates the activities of microglial cells that express very low level of 3-phosphoglycerate...."J. Neurosci. Res.. 64. 392-401 (2001)
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[Publications] Yamasaki M, Yamada K, Furuya S et al.: "3-Phosphoglycerate dehydrogenase (3PGDH), a key enzyme for L-serine biosynthesis, is..."J. Neurosci.. 21. 7691-7704 (2001)
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[Publications] 古屋茂樹, 三苫純也, 平林義雄: "グリア細胞由来L-セリンの神経栄養活性と脂質合成制御"蛋白質 核酸 酵素. 47. 409-416 (2002)