2001 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴデンドロサイトの移動および髄鞘形成における形態変化とその制御機構
Project/Area Number |
12680775
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
小野 勝彦 島根医科大学, 医学部, 助教授 (30152523)
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Keywords | オリゴデンドロサイト / O4 / 細胞増殖 / BrdU / EGFP / 電気穿孔法 / ニワトリ胚 / 細胞移動 |
Research Abstract |
オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)の移動、増殖および移動を制御する分子を調べ、以下の成果を得た。 (1)ニワトリ胚後脳の脳室層の細胞をEGFP遺伝子の導入により標識し、これを経時的に追跡しOPCのマーカー抗体であるO4と二重標識することにより、OPCの移動を調べた。その結果、脳幹内側部にEGFPが導入された場合に限ってO4陽性/EGFP陽性細胞が出現した。さらに、少数ではあるがこのような細胞が小脳にも出現し、脳幹に由来するOPCが小脳まで移動するものも存在することが示された。 (2)OPCの増殖様式を明らかにするために、ブルモデオキシウリジン(BrdU)を投与した後に胚を固定し、O4との二重標識を試みた。その結果、OPCの起原とおもわれる脳室層ではBrdUを取り込むO4陽性細胞は20%程度であるのに対し、脳実質に入った直後のO4陽性細胞ではその50%がBrdUを取り込んでいた。したがって、OPCは脳室層よりも、脳実質に入った直後に活発に増殖することが明かとなった。 (3)OPCの細胞移動を制御する分子を明らかにする目的で、β1インテグリン(CSAT)、NCAM(5e)、N-カドヘリン(NCD-2)に対する中和抗体産生ハイブリドーマを脳室内に注入し、OPCへの影響の有無を視神経で解析した。その結果、NCD-2の脳室内注入により、視神経に見られるO4陽性細胞の数が対照群と比べて半減した。また、その分布も視神経の網膜側で減少する傾向にあり、細胞移動が阻害されていることが示された。一方で、培養実験で大きな阻害効果を示したCSATを脳室内に注入した例では大きな変化は見られなかった。したがって、N-カドヘリンがOPCの移動を制御する分子の新たな候補としてみいだされた。
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[Publications] 小野勝彦: "オリゴデンドロサイト"細胞. 32/1. 9-13 (2000)
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[Publications] 小野勝彦: "オリゴデンドロサイト前駆細胞の移動とその制御機構"実験医学. (印刷中).
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[Publications] Ono K, et al.: "Extensive proliferation of oligodendrocyte precursors in the parenchyma of the embryonic chick central nervous system"Developmental Biology. 231/1. 77-86 (2001)
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[Publications] Ono k, et al.: "Morphological oligodendrocyte lineage cells in the developing vertebrate central nervous system"Developmental Neuroscience. 23/4-5. 346-355 (2001)
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[Publications] Yamasaki T, et al.: "Pax6 regulates granule cell polarization during parallel fiber formation in the developing cerebellum"Development. 128/16. 3133-3144 (2001)
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[Publications] 小野勝彦: "オリゴデンドロサイトの発生と細胞表面分子"ブレインサイエンスレビュー(伊藤、川合 編)医学書院. 30-40 (2001)