2000 Fiscal Year Annual Research Report
gap junctionを介する大脳皮質GABAニューロンの樹状突起ネットワーク-同期的振動現象の発生機序の解明-
Project/Area Number |
12680778
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福田 孝一 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50253414)
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Keywords | gap junction / 大脳皮質 / GABA / インターニューロン |
Research Abstract |
平成12年度は、海馬で私が明らかにしたgap junctionを介するGABAニューロンの樹状突起ネットワークが、新皮質にも存在している可能性を、主に電子顕微鏡と共焦点レーザー顕微鏡を用いてラットとサルで検討した。一次視覚野、一次体性感覚野、一次聴覚野、ならびにそれら周囲の連合野のいずれにおいても、PVニューロンの樹状突起は海馬同様に多数の個所でお互いに接触していた。電子顕微鏡観察により樹状突起間の接触部位におけるgap junctionの存在を確認した。また、新皮質のPVニューロンの樹状突起の広がりは、常に側方へと大きく展開している海馬と異なり、領野、層および種に特異的な方向性を示すことも明らかにした。たとえば一次感覚野では、縦方向に並走する樹状突起間の接触が目立ち、カラム構造との関連性を推測させる一方、連合野では側方へ広がる樹状突起がより顕著であった。以上より、新皮質のPV含有GABAニューロンも、gap junctionを介する樹状突起ネットワークを広く形成していることが明らかになったが、各領野、層、種における樹状突起の形態は、機能的性質との対応が予想される興味深い差異が認められた。これまで、神経細胞が作るネットワーク構造といえば、軸索とシナプス結合を介するものが中心に考えられてきたが、今回の成果により、海馬ならびに新皮質のGABA作働性インターニューロンが、gap junctionをなかだちとした樹状突起のネットワーク構造を持つことが確かめられた。このことは脳の構造の理解ならびに脳の機能の解明の上で、新しい概念を提供するものと言える。以上の内容の第1報を学術雑誌に発表し、さらに詳しい内容の論文を投稿準備中である。
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