2001 Fiscal Year Annual Research Report
サブプレートニューロン欠損マウスを用いた大脳新皮質発達に関する研究
Project/Area Number |
12680781
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石井 加代子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30193246)
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Keywords | 大脳新皮質 / サブプレートニューロン / マウス胎仔 / 層構造 / golliプロモーター / インターロイキン-9 |
Research Abstract |
大脳新皮質で最初期に発達するサブプレートの神経細胞(サブプレートニューロン)は後続して発達する皮質層の神経細胞に対して誘導的機能を果たすと考えられている。この機能を解析する為に、サブプレートニューロンの欠損マウスの作成を計画した。ミエリン塩基性蛋白質遺伝子に含まれる3個のプロモーターの内最も上流に位置するgolliプロモーターの一部early proximalプロモーター(epp)は、サブプレートやマージナルゾーンなど大脳新皮質に於いて最初期に発達する層の神経細胞に特異的な蛋白質の発現を調節し、特にサブプレートニューロンで強く持続的な活性を示す。eppプロモーターの下流に細胞死を誘導する蛋白質reverse caspase-3の遺伝子を結合してマウスに導入することにより、サブプレートニューロンを破壊する事を試みた。しかしサブプレートニューロンを破壊すると広範で多様な障害が生じ、致死的である為解析が困難であることが判った。そこで、サブプレートニューロンが皮質層に伸展する放射状突起を選択的に摂動し、その機能を解析する事とした。calcineurinのcalcium-calmodulin調節領域を欠損したconstitutively active formは神経突起の進展を阻害する事が示唆されている。eppの下流にconstitutively active calcineurin遺伝子を結合し、マウス胎仔に発現させるべく導入遺伝子の構築を行った。この際発現細胞を同定するため、internal ribosome entry siteとgreen fluorescent gene(IRES-EGFP)を結合した。epp-constitutively active calcineurin遺伝子を導入したマウスと正常マウスの形態学的比較を行い、サブプレートの神経細胞の新皮質発達に於ける役割を解析する。 サブプレートの機能を障害したマウスと比較するため、これとは逆に大脳新皮質最初期層の発達が昂進している事を研究代表者が見い出したインターロイキン-9過剰発現トランスジェニックマウスについて解析を行った。胎生期に於ける神経細胞産生の促進、生後に於ける神経細胞自然死、及び実験心理学的解析の結果を米国神経科学会31回大会(サンディエゴ)にて発表した。
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[Publications] Kayoko Ishii, Tokiko Hama, Kejichi Uyemura: "A study on neocortical development using IL-9 transgenic mice"Society for Neuroscience Abstracts. 27. 359.1 (2002)
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[Publications] Kayoko Ishii, Yukio Hirata, Yoshihiro Ogawa, Kejichi Uyemura: "Conservation of K1 immunoreactivity against early cortical neurones in the vertebrate telencephalon"Neuroscience Research. 39. 115-122 (2001)
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[Publications] Kayoko Ishii, Akiko Murata Kazunori Yoshimura, Keiichi Uyemura: "A novel nionoclonal antibody K1 recognises early neurones in the rat cortex"Neuroscience Research. 39. 31-38 (2001)