2000 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス抑制蛋白は虚血性ネクローシスを阻止できるか?
Project/Area Number |
12680802
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
山本 悟史 久留米大学, 医学部, 助手 (60220464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 永一郎 久留米大学, 医学部, 講師 (80188284)
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Keywords | アポトーシス / ネクローシス / 脳虚血 / 海馬CA1細胞 |
Research Abstract |
虚血性中枢神経細胞死におけるネクローシスとアポトーシスのクロストークの可能性を調べる目的で以下の実験を行い、新たな知見を得た。 1)In vitro脳虚血(ネクローシスモデル)に関与するアポトーシス誘導蛋白 ラット海馬スライス標本を作成し、細胞内微小電極法を用いてCA1錐体細胞の膜電位変化を観察した。In vitro脳虚血負荷(酸素・グルコース欠如液灌流)を行うと、約6分後に膜電位は急峻に脱分極し、虚血解除後も脱分極は持続し、biocytinを用いた細胞形態の観察では、細胞体が膨化したネクローシス型の細胞死が観察された。このネクローシスモデルを用いてアポトーシス誘導蛋白であるcaspase3の活性化を観察したところ、虚血負荷時間に依存してcaspase3活性の増加が観察された。 2)アポトーシス抑制蛋白によるネクローシスの阻害 ラットに低容量のカイニン酸(5mg/kg)を前投与すると、海馬CA1領域にheat shock proteinが誘導され、in vivo脳虚血モデルで海馬CA1錐体細胞のアポトーシスが抑制される。このモデル動物を用いて海馬スライス標本を作成し、in vitro脳虚血負荷を行い(ネクローシスモデル)、CA1錐体細胞の膜電位変化を観察した。その結果、カイニン酸前投与動物では、in vitro脳虚血によって誘起される急峻脱分極電位のslope(dV/dt)の抑制とその発生潜時の延長が観察された。また、カイニン酸以外にも、アポトーシス抑制蛋白を誘導すると考えられる処置(電撃痙攣、経頭蓋磁気刺激など)を行った動物においても同様の結果が観察された。 以上の実験結果は、急性ネクローシスと遅発性アポトーシスのクロストークの可能性を示唆する。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yamamoto,S.: "The effect of transcranial magnetic stimulation on the experimental ischemia in rat CA1 hippocampal neurons in vitro."Japanese Journal of Physiology. vol 50,Suppl.. (2000)