2000 Fiscal Year Annual Research Report
酵素活性の可視化による細胞内情報伝達系の機能の解明
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12680803
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
坪川 宏 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (30227467)
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Keywords | PKC / 細胞内情報伝達系 / イメージング / 海馬 / カルシウムイオン / 興奮性調節 / 神経生理学 / 脳科学 |
Research Abstract |
交付申請書に記した通り、本年度は主に実験系の確立を行った。 (1)実験標本の検討 脳スライス標本上の単一ニューロンに適用することを目指しているが、より光学的記録のしやすい標本として脳スライス培養標本が考えられる。そこで、スライス培養標本を作成するための設備・機器を導入し、幼弱マウスの海馬を用いて約1ヶ月間のスライス培養を行った。標本は、電気生理学的・光学的記録に適するものであることが確認された。 (2)酵素活性を可視化するための色素の選定と蛍光検出システムの確立 タンパク質リン酸化酵素C(PKC)のATP結合部位に競合的に結合するといわれる蛍光色素、fim-1を購入し、蛍光を検出するのに最適なように、フィルター、レンズ、光源ランプの選定など、顕微鏡システムの調整・改良を行った。また、fura-2等のCa^<2+>感受性色素との混合による蛍光波長のズレの有無や、蛍光の強さへの影響について調べ、両者の蛍光を独立して検出できるようにシステムを調整した。 (3)予備実験 PKCを含む数種のタンパク質リン酸化酵素の濃度とfim-1の蛍光強度との関係を試験管内で調べた。その結果、fim-1は、1)タンパク質リン酸化酵素の中ではPKC存在下で比較的特異的に蛍光強度が増すが、濃度依存性は少ないこと、2)fura-2の蛍光との干渉は無視できることが分かった。従って、fim-1の濃度を充分低くして適用すれば、細胞内でのPKCの存在部位が検出できるものと考えられた。しかしながら、3)PKCサブタイプの中ではβ2型存在下で最も蛍光が強くなるが選択性は低い、などの問題も明らかになり、サブタイプによるtranslocationの方向の違い等を調べるには適当でないと考えられる。このため、今後は目的に応じて遺伝子操作を適用することにより、特定のPKCサブタイプに蛍光色素が共発現した標本の使用も考慮する必要があると思われた。
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