2002 Fiscal Year Annual Research Report
酵素活性の可視化による細胞内情報伝達系の機能の解明
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12680803
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
坪川 宏 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (30227467)
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Keywords | PKC / 細胞内情報伝達系 / イメージング / 海馬 / カルシウムイオン / 興奮性調節 / 神経生理学 / 脳科学 |
Research Abstract |
マウス海馬スライス標本およびスライス培養標本上のニューロンを用いて、以下の実験逢行った。 (1)PKCの薬理学的活性化によるトランスロケーションの部位について PKCに結合する蛍光色素fim-1を記録電極の内液に加えることにより単一錐体細胞内に充填し、PKCの活性化剤であるホルボールエステル(Phorbol 12-myristate 13-acetate、100nM)を細胞外に投与して、蛍光色素の動きを観察すると同時に電気生理学的記録を行った。これまでの結果から、fim-1蛍光の集積は細胞膜の一側(あるいは一部)で、膜全体に広がる様子はみられず、培養細胞等で得られている結果と異なる。この理由について検討した結果、fim-1蛍光の集積が見られる部位は、PKC活性化剤が浸透してゆく細胞膜の部位と一致する可能性が示唆された。すなわちホルボールエステルによって誘発されるトランスロケーションは、活性化されたPKCの基質への移動ではなく、膜内側表面に出現した活性誘引分子(生理的にはジアシルグリセロール)へのPKCのトラップである可能性が考えられた。 (2)PKCサブタイプ特異的なトランスロケーション観察の試み トランスロケーションは、内在性のPKCだけでなく、細胞内へ注入したPKCでも見られることが、培養細胞を用いた研究から示されている。そこで、蛍光色素fim-1に予め特定のPKCサブタイプを結合させたものを細胞内へ注入することにより、サブタイプ特異的なトランスロケーションの観察を試みた。これまで、カルシウム依存性の4種(α、β1、β2、γ)について検討したところ、ホルボールエステル投与によって細胞体で見られるトランスロケーションは、主にβ2型によることが判明した。この結果は、他グループによる培養細胞を用いた組織学的研究で、fim-1の分布とβ2サブタイプの分布が一致したという報告と一致する。
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