2000 Fiscal Year Annual Research Report
組識工学的手法を用いた未分化組織(胎仔肝臓)からの臓器機能再生
Project/Area Number |
12680823
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三好 浩稔 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (70292547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎮西 敬子 (大川 敬子) 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (30251052)
大島 宣雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50015971)
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Keywords | 肝細胞 / 人工肝臓 / tissue engineering / 骨髄 / 胎児 / oncostatin M / 3次元培養 / 造血 |
Research Abstract |
胎児期の肝臓は肝機能に加えて造血機能も併せ持っており、成体の肝臓や骨髄と比較して増殖能の高い未分化な細胞が高頻度に存在している。そこで本研究では、胎仔肝臓細胞を組織工学的手法を用いて3次元培養し、培養系において細胞を分化・増殖させて治療への展開を図ることを最終的な目標とした。 培養にはマウス胎仔肝臓細胞を用い、3次元培養用担体としてpolyvinyl formal(PVF)樹脂多孔質体を立方体状に細切したものを使用した。遠心操作により細胞を担体に播種し、2種類の基本培地、すなわち肝細胞の培養に汎用的なWilliams' medium E(WE)と骨髄細胞の培養に一般的なminimum essential medium alpha(aMEM)を用いて培養を行った。その結果、細胞の増殖にはaMEMが適していたが、肝特異的機能(アルブミン分泌能)の維持はWEの方が良好であった。次に、これらの培地にinterleukin-6ファミリーのサイトカインであるoncostatin M(OSM)を添加して培養を行ったところ、いずれの培地においても細胞の増殖能は約2倍に増加し、WEでは高いアルブミン分泌能が1ヶ月以上安定に維持された。従って、OSMは肝細胞の強力な刺激因子であることがわかった。 造血機能については、マウス骨髄細胞を3次元培養することにより検討を行った。平板上のPVF樹脂内で骨髄細胞を培養して支持細胞層を形成し、ここに骨髄細胞を再度播種することにより、再播種細胞中の造血系細胞の増殖を試みた。その結果、培養細胞中には各種の造血前駆細胞が存在していることが明らかになった。さらに培養細胞を、造血機能を破壊したマウスに移植したところ、培養細胞由来の造血が長期間にわたって観察されたことから、培養細胞中に造血幹細胞が存在することが確認された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 柳健一,Thein Tun,三好浩稔,谷口英樹,高田泰次,深尾立,大島宣雄: "バイオ人工肝臓への応用を目的とする充填層型リアクタの開発:リアクタの性能改善とスケールアップ"肝臓. 41(3). 226-227 (2000)
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[Publications] Miyoshi H,Ehashi T,Ema H,Hsu HC,Nakauchi H,Ohshima N: "Long-term culture of fetal liver cells using three-dimensional porous polymer substrate"ASAIO J. 46(4). 397-402 (2000)
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[Publications] Tun T,Miyoshi H,Ema H,Nakauchi H,Ohshima N: "New type of matrix support for bone marrow cell culture : in vitro culture and in vivo transplantation experiments"ASAIO J. 46(5). 522-526 (2000)
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[Publications] 三好浩稔,大島宣雄: "人工肝臓:この一年の進歩"人工臓器. 29(5). 602-604 (2000)
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[Publications] Yang TH,Miyoshi H,Ohshima N: "Novel cell immobilization method utilizing centrifugal force to achieve high-density hepatocyte culture in porous scaffold"J Biomed Mater Res. (in press).