2001 Fiscal Year Annual Research Report
タリウム201核医学イメージングにおける体内放射能分布の定量性向上に関する研究
Project/Area Number |
12680838
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
古嶋 昭博 熊本大学, アイソトープ総合センター, 助教授 (20161903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨口 静二 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (20172182)
松本 政典 熊本大学, 医療技術短期大学部, 教授 (90040229)
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Keywords | タリウム201 / 核医学イメージング / 体内放射能分布の定量性 / SPECT / 心臓ファントム実験 / 散乱線補正 / 透過型減弱補正 |
Research Abstract |
タリウム201(Tl-201)は、心臓、腫瘍、甲状腺などの核医学イメージング検査に広く使用されているラジオアイソトープである。しかし、投与される放射能量が少なく、イメージングに寄与する放射線エネルギーが低いために、体内での放射線の散乱や減弱などが正確なTl-201の体内放射能分布の定量化イメージングを困難にする。今年度の研究目的は、前年度で考案した散乱線補正法と以前に共同研究者と開発した外部線源による透過型減弱補正法を用いて、Tl-201のSPECTイメージングにおける定量性を向上できるかを検証することであった。 当初は、この定量性向上法をTl-201の心臓ファントム実験と患者の心臓検査に対して適用する計画であったが、使用予定の外部線源による減弱補正法の人に対する法的制限行われたために患者での試験はできなかった。従って、心臓ファントムのみによるSPECTにおいて実験とその評価を行った。 ガンマカメラ型の臨床SPECT装置と心臓ファントムを用いて、患者の病態や体格などを考慮した模擬的な条件下でSPECTデータを収集後、散乱線補正と減弱補正をいろいろ組み合わせたときの断層イメージを作成して、それらの効果について比較検討した。その結果、Tl-201のSPECTイメージングでの定量性を向上させるためには、まず、体外で検出される放射線に対して散乱線補正により偽の位置情報をもつ散乱線を除去した後、真の位置情報を持つ直接線のみを効率良く取り出し、さらにこのデータに精度の高い減弱補正をして体内深部の放射能量を推定することが重要であるということが明らかとなった。この研究成果の一部を、欧州核医学会(EANM in Napoli, Italy, 2001年8月)において発表した。本結果は、将来的にTl-201に限らず、患者の正確な病態診断を行うための臨床研究にも有用な基礎データになると考えられる。
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