2000 Fiscal Year Annual Research Report
イオンポリマーメタル複合体を用いた人工心筋開発の基礎研究
Project/Area Number |
12680852
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
筏 義人 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 教授 (00025909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 成知 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 講師 (40191720)
伊原 正 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 教授 (70261039)
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Keywords | 人工筋肉 / ポリマー / 導電性ポリマー / 人工心筋 / 生体材料 / 生体適合性 / アクチュエータ / 高分子電解質膜 |
Research Abstract |
イオン交換ポリマーメタル複合体(IPMC)は、水で膨潤した高分子電解質膜に金属電極をめっき接合したメカノケミカル・アクチュエータ材料である。これは、低電圧で大きな変位を発生し、生体の筋組織と同様に容量性および抵抗性素子として湿度の高い環境で効率よく動作する。IPMC膜に電界を加えると、膜の片側で引張歪が、反対側で圧縮歪が生ずる。これは、膜内のイオンが電界によって移動するためと考えられているが、表面電荷の相互作用によるメカニズムも考えられている。IPMCを用いたアクティブアクチュエータの特性を計測し、人工心筋の開発可能性を検討した。パーフルオロスルホン酸膜(デュポン社製Nafion117)の両面をサンドブラスト加工で表面を粗化して表面積を増大したのち、イオン交換反応で金錯イオンを吸着させた。この金イオンを還元し、膜の表面に金を析出させた。膜厚は200μm、金層の厚さは約2μmで片面当り3mg/cm^2に相当する。 金を接合した膜を短冊状に裁断して水中に片持ち支持し、接合膜の両面に取り付けた白金リード線間に2Vの方形波電圧を加え、試験片がアノード側に彎曲することを確認した。また、この時発生する張力をアイソトニックトランスデューサおよびアイソメトリックトランスデューサを用いて測定した。幅5mm、長さ20mmのIPMCの試験片の発生する張力は2.0Vの方形波電圧を印加した際、ピーク値で0.5gfであった。これは応力にして約50Paに相当する。健常人安静時血圧に相当する120mmHgの圧は約16000Paであるので、この圧を発生するためには、理論的にはIPMC膜を18層重層すればよい。重畳するIPMC膜の接合材の厚みを考慮しても、7.2mm程度の厚みで圧発生が可能である。発生応力は電界にも比例するが、溶液中で作動するアクチュエータであるため、分極を防ぐため、印加電圧を上げることは困難である。しかし、膜の重ね合わせにより、心筋層に相当する厚みで、心室内圧相当の圧の発生が可能であることが示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 伊原正,筏義人: "イオンポリマーメタル複合体を用いた人工心筋開発の基礎研究"日本ME学会雑誌. 第38巻特別号. 121-121 (2000)
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[Publications] 伊原正,小黒啓介^†,安積欣志^†,藤原直子^†,筏義人: "イオンポリマーメタル複合体を用いたアクティブグラフト開発の基礎研究"日本ME学会雑誌. 第39巻特別号. (2001)