2000 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀末日本と朝鮮における「西洋」の受容と排他にみる自己認識の比較研究
Project/Area Number |
12710016
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
朴 鍾祐 神戸大学, 文化学研究科, 講師 (60304078)
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Keywords | 平田篤胤 / 国学的世界観 / 西洋受容 / 朝鮮西学 / 受容 / 排他 |
Research Abstract |
本研究は、18世紀末日本と朝鮮における「西洋」の受容に関する相互の自己認識を究明することを目的とし、この研究の結果によって両国の近代化への移行の過程を探る試みである。本年度は、日本側に注目しながら、とりわけ平田篤胤の西洋認識を中心に研究を進めてきた。篤胤は、「千島の白波」にみられるように、概念的西洋ではなく、実体をともなった西洋として受容する様相を呈する。しかもその西洋像は危機意識の中で、認識されるとともにそこから日本の優越性を強調する方向性を示すことが、篤胤の強烈な日本認識につながるものと考えられる。篤胤は日本の沿岸に頻繁に現れる船舶に強い関心を示し、さらにこのような情勢の中で長崎から得られる情報や直接な情報を求めることもよく窺える。しかし篤胤の受容のあり方は危機意識が高まれば高まるほど他者に対する排他的な受け入れ方が強まり、自国中心的自国認識の色合いが濃くなる。ここで西洋への強い関心が必ず西洋に対する積極的姿勢ではないことも窺える。これが強力な明治国家への移行を促す形で展開したことも否めない。ただ、篤胤のような考え方が当時どのようにあらわれたのかは様々な形での研究を要するものである。その当時の異なる性質の知識人を取り上げることはいうまでもない。朝鮮の場合においても、大きな流れとしては西洋を積極的に受け入れる知識人と排他の知識人の激しい対立が大きく目立ち、朝鮮時代末期に大きなイッシュとして登場することになる。このような様相をそれぞれより具体的検討しつつ、来年度の研究につなぎたいと思う。
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