2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12710027
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
志邨 匠子 早稲田大学, 會津八一記念博物館, 助手 (00299926)
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Keywords | セオドア・ウオレス / ロバート・ブルーム |
Research Abstract |
本年度は,セオドア・ウォレスとロバート・ブルームのアメリカでの活動と位置づけを明確にするために,在米資料の収集と在米作品の調査をおこなった。主な訪問先と調査の内容は以下の通りである。 1,アメリカ合衆国議会図書館(ワシントンDC),デューク大学図書館(ダーラム) アメリカで開催されたウォレスとブルームの展覧会カタログなど,日本で入手不可能な資料を閲覧・複写。 2,フリア美術館(ワシントンDC) ウォレス,ブルームの同時代画家,ホイスラーとアメリカン・トナリズムの画家たち(デューイング,セイヤー等)の作品を調査。 3,ロサンゼルス・カウンティ美術館(ロサンゼルス),デ・ヤング美術館(サンフランシスコ)ウォレスと同様にアメリカ西海岸で活躍した画家たちの調査と,ホイスラー作品の調査。 当初予定していたメトロポリタン美術館でのブルームの作品調査は実現できなかったが,今回調査した展覧会カタログや当時の資料は,これまでほとんど論じられてこなかった彼らの作品の概要を知る手がかりとなった。また同時代のアメリカ人画家たちを視野に入れることで,両者の作品に見られる日本趣味の類似点,相違点が明確になった。さらに同時代資料から,20世紀初頭,ふたりの画家が日本文化を紹介する窓口になっていたこと,またそれを支える層の厚い雑誌媒体と大衆が存在したことも確認された。このような大衆レベルの日本趣味は,フェノロサや岡倉天心と交際のあったボストンの知識人サークルの日本趣味とは対照的な特徴をもっている。今後はこの点にも着目しながら,彼らの日本での具体的な活動を調査する予定である。
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