2000 Fiscal Year Annual Research Report
英単語想起方略としての空書行動の検討-その脳内活動を探る-
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12710031
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
住吉 チカ 福島大学, 教育学部, 助教授 (20262347)
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Keywords | fMRI / 英語音節 / 右上頭頂小葉 / Broca野 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本語話者の英単語想起における脳内メカニズムを明らかにすることである。今年度は、日本語話者にとり独立の音韻カテゴリではない"l","r"より構成される英音節の想起時の神経活動をfMRIを用いた脳画像解析により明らかにした。具体的には、"l", "r"よりなる音節の記銘・再認課題(lr condition)を行わせ、その脳部位の賦活パタンを"n","b"(nb condition)あるいは"n","d"(nd condition)よりなる音節の記銘・再認課題の場合と比較した。fMRIの撮像データは、SPM99により処理及び統計解析を行った。 分析の結果、lr vs.nb Experiment及びlr vs.nd Experimentともに、lr conditionにおいて、右上頭頂小葉(SPL ; BA 7)が、nb conditionあるいはnd conditionより強く賦活した。また、lr vs.nb Experimentではlr conditionにおいて、左下前頭回(Broca area ; BA 44)がより強く賦活した。これらの脳賦活パタンは、日本語話者が"l" や"r"音節に対し独立の音韻カテゴリを持たないために、記銘・再認の視覚的・構音上の認知的努力が大きかったことを示唆している。日本語話者が"l"や"r"を含む英単語を記銘しにくいことは、従来、経験的に述べられてきた。本研究ではこの困難さについて、脳賦活パタンの相違という点から神経学的に裏付けることができたといえる。
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Research Products
(1 results)