2001 Fiscal Year Annual Research Report
弁別訓練がサル大脳一次視覚野の受容野特性に及ぼす影響
Project/Area Number |
12710038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
脇田 真清 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (40301270)
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Keywords | サル / 一次視覚野 / 方位弁別 / 方位コラム |
Research Abstract |
本研究では、覚醒アカゲザルを用いて、方位弁別訓練の受容野特性に及ぼす影響を、学習は行動科学的手法として弁別訓練、皮質活動は生理学的手法により内因性信号を用いて調べることを目標としている.麻酔下動物用に開発された装置を目的に合わせ改良し、覚醒動物からの記録を当面の目的とした。今年度は昨年度までの反省から、刺激呈示にはCRTディスプレイを用いたことから、より明瞭な刺激を呈示できるようになった.また、動物のモンキーチェアでの動きをモニターすることに加え、眼球運動をモニターすることにより、動物が刺激を注視できていることを保証した.これらの改善により、記録される画像の信頼性を高められると考えられる.また、今年度は覚醒サルでの実験と平行して、記録装置の動作確認として麻酔下ラットでの体性感覚野からの内因性信号の記録を行い、従来の画像解析プログラムの修正を行った.最終的には、覚醒サルでの記録を開始することができた. また、予備実験としてサルの方位弁別後般化勾配を求めた.その結果、サルでは、従来ハトで観察されているような正刺激と負刺激との対比を示す頂点移動は表れず、角度次元で概念を抽出するのではなく、斜方と直方のカテゴリーを形成しやすいことがわかった.視覚野の受容野特性は麻酔下ネコで方位に鋭敏化させた場合、ハトにおける行動のデータと同じく、理論的な最適方位が頂点移動を示した.このことから、用いられた方位刺激の連続性という物理的特性と一次視覚野の方位受容野の連続性が対応して変化すると考えられる.しかし、サルにおいてはネコと同等の受容野特性を持つにもかかわらず行動レベルでは頂点移動が起こらなかった.このことは、刺激される受容野の興奮・抑制によって行動が決定されない可能性を示唆した。
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