2000 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧ラットSHRの循環器系機能が驚愕情動反応に及ぼす影響
Project/Area Number |
12710049
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Research Institution | Kosei Gakuin Hachinohe Junior College |
Principal Investigator |
佐藤 俊彦 光星学院八戸短期大学, 幼児教育学科, 講師 (20322612)
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Keywords | 驚愕反応 / SHR / 血圧 / Poststartle activity / ラット / 情動行動 / 行動抑制 / 生理心理学 |
Research Abstract |
驚愕刺激提示直後に出現する驚愕反応およびそれに続く活動の抑制と、循環器系活動との関連に着目し、高血圧自然発症ラット(SHR)の驚愕反応について調べた。 驚愕刺激である105dBのホワイトノイズ提示開始から200ミリ秒以内に発現する驚愕反応と、同刺激提示から30秒間の活動量とを2種類の振動検出用センサによって記録した。ひとつは動物を入れたホルダの下に配置して垂直方向への荷重の変化を検出する圧力トランスデューサ(Coulbourn Instruments)であり、もうひとつはホルダの外側面に取りつけて微細な振動を検出するセンサ(日本光電製MTピックアップ)であった。これらのセンサからの出力を解析して、SHRの成績を健常血圧のWKYラットと比較した。 その結果、刺激提示から200ミリ秒間のトランスデューサ出力については、SHRの積分値が有意に大きかった。さらに、振幅のピーク値がSHRで有意に大きくなる傾向を認めた。他方、MTピックアップからの出力については、積分値、振幅のピーク値、ピーク潜時のいずれについても系統差に有意性を認めなかった。SHRの驚愕反応がWKYよりも大きかったことは、最近の先行研究の成績と合致する。また、異種センサの比較結果より、SHRの驚愕反応の特徴がより明確になったとともに、計測方法が異なれば、驚愕反応の相対的な大小関係も変わりうることを示している。驚愕反応の実験報告を比較する場合には、この点を留意すべきであろう。 次に、刺激提示後30秒間の活動に関しては、トランスデューサとMTピックアップのいずれの出力に関しても、SHRの積分値が有意に大きかった。このことは、驚愕刺激によって誘発される"すくみ反応"がSHRで小さいことを示唆している。研究代表者らが過去に報告したオープン・フィールドでSHRの活動性が高いことや、初動潜時が短いといった行動特性は、この種の情動反応がSHRで小さいことに関連していると推定した。
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[Publications] 佐藤俊彦: "注意欠陥多動性障害(ADHD)の生理・行動的基礎"光星学院八戸短期大学研究紀要. 23巻(印刷中). (2000)
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[Publications] SATO Toshihiko,HATAYAMA Toshiteru,KATAHIRA Kiyoaki,SHIMIZU Kayoko: "Blood pressure level as a determinant of the locomotor activity in spontaneously hypertensive rat (SHR)."International Journal of Psychology. 35巻. 141 (2000)
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[Publications] 佐藤俊彦,畑山俊輝: "SHRの活動性に及ぼすニカルジピンの効果(III)."生理心理学と精神生理学. 18巻. 138 (2000)
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[Publications] 佐藤俊彦,畑山俊輝: "自律神経節遮断薬がSHRの移動活動に及ぼす効果(III)."日本心理学会第64回大会発表論文集. 228 (2000)
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[Publications] 佐藤俊彦,清水加代子,畑山俊輝: "SHRの活動性に及ぼすニカルジピンの効果(II)."東北心理学研究. 49巻. 61 (2000)