2000 Fiscal Year Annual Research Report
教師への援助サービスシステム構築のための基礎的研究
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12710056
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
今田 里佳 信州大学, 教育学部・附属教育実践総合センター, 講師 (80306670)
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Keywords | 教師 / 精神健康度 / 学校内支援システム / 対人関係スキル / フォーマルな支援 / インフォーマルな支援 / 安心感 / 肯定感 |
Research Abstract |
平成11年度の調査研究においては、精神健康度質問紙予備調査および現職教員のインタビューを行った。これらの予備調査・インタビュー結果は、教員の精神健康度が(1)各個人の家庭状況、(2)学校内の支援体制(フォーマル・インフォーマル)が大きく影響していることを示していた。このことから、学校内で、教員を支援する体制ができていること(フォーマルな支援)と、教職員間の人間関係が良好に保てること(インフォーマルな支援)を充実させること、また学校外で各個人を支援できる外部相談機関や研修機関の紹介常時行うことや、外部支援機関の充実をはかることが重要であると考えられた。良好な人間関係を築くための人間関係スキルの不足は、学校不適応を起こしている児童生徒だけに該当する問題ではなく、学校不適応を起こす教員にも言えることである。「どんなに指導のたいへんな児童生徒と付き合っていかなくてはならなくても、同じ学校の先生方(同僚)や校長に理解してもらえ支えてもらえれば、やっていける」という言葉を何人もの教員たちから聞いた。教員として自己の能力や努力を、同僚たち承認され理解されるという安心感や肯定感が、なにより精神の健康度を保つ要因となるであろうと考えられた。そこで、スクールカウンセラーが配置された1中学校において、校長・教頭の協力の中、学校内支援システムを試行した。この支援システムは、もちろん生徒を支援するシステムでもあるが、同時に教職員を支援できるように考えられた。校長が、各教員一人ひとりの意見を聞き、学校運営に取り入れていくプロジェクトを企画実施し、また、個別の教員の家庭状況などを勘案した柔軟な管理姿勢を示す、教頭が豊富な経験を生かし、さまざまな場面での情報提供をする、スクールカウンセラーが全教員最低1回は面接を行い必要に応じて継続面接を行う、対人関係スキルを高めるために構成的グループエンカウンターを経験する、などが実行された。
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