2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12710058
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中谷 素之 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 助手 (60303575)
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Keywords | 社会的責任目標 / 社会的動機づけ / 教師の指導行動 / 協同学習活動 / 社会的相互作用 / 学業達成 |
Research Abstract |
学校場面におけるさまざまな活動や状況に対して適応的に生活してゆくためには、子どもがどのような社会的、対人的な効力感、有能感、すなわち社会的コンピテンスをもっているかが非常に重要である。子どものもつ社会的コンピテンスによって、対人的な相互作用や授業、あるいは学校に対する態度も大きく影響を受けると考えられる。最近の教育心理学的研究では、社会的コンピテンスの中でも、特に他者に対する協力的、援助的志向である社会的責任目標に焦点を当てた研究が注目されている(Wentzel,1991,1998)。本研究の目的は、このような社会的責任目標の形成・促進過程について検討し、社会的動機づけのメカニズムを明らかにすることにある。 本年度の研究では、特に教師の指導行動に関しての探索的な検討、および学習形態と社会的責任目標の関係についての研究の2点について注目し、検討を行った。 1.社会的動機づけを促進する教師の指導行動 現職教員に対するインタビュー形式の調査を行い、社会的動機づけを促進するための指導行動について検討した。その結果、説得的規範教授、協同活動の促進、親和行動、統制といったカテゴリーが、社会的責任目標の促進のために日常的に行われる指導行動であることが示された。 2.協同学習活動と社会的動機づけ 教室における学習形態(協同学習対一斉学習)により、社会的責任目標の影響は異なると予想される。協同学習事態では、児童間の相互作用を通じた学習が強調されるため、社会的責任目標の効果が見られるであろう。実際の教室場面における協同学習において短期的な時系列調査を行った結果、社会的責任目標をもつ児童は、協同学習での相互作用に積極的に関わり、また学業的動機づけが高いなど、質の高い学業的コミュニケーションを行っている傾向が示された。
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