2000 Fiscal Year Annual Research Report
算数科における問題解決能力の育成を目指した指導・介入に関する心理学的研究
Project/Area Number |
12710059
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
坂本 美紀 愛知教育大学, 教育学部, 助手 (90293729)
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Keywords | 問題解決 / 算数文章題 / 解決過程 / 解決方略 / 訓練実験 |
Research Abstract |
本研究の目的は,高学年配当の算数文章題を対象に,(1)問題解決過程でのつまづきの原因を探る判定テストの作成と妥当性の検討,(2)つまづきの原因に応じて個別指導を行うコンピュータ・プログラムの作成,(3)訓練実験による指導の有効性の実証,以上3点である。 本年度の研究1(目的(1)に対応)では,昨年度の実験協力校で,1年後のフォローアンプデータを採取した。具体的には,昨年度調査した小数の割合問題の一部と,その後の学習内容である分数の問題からなる課題冊子を用いて,解決方略・つまづきの様相・解決に必要な知識の獲得状況等の点から,児童の問題解決能力の経年変化を検討した。あわせて,昨年度の調査データから本年度分の問題解決課題の成績がどの程度予測できるのかを検討し,予測力の高い変数を同定した。 本年度の主眼である研究2では,まず目的(2)に関して,先年の研究で作成した個別指導プログラムについて,指導部分の問題点の第一次改良を試みた。今回の改良では,出題された文章題の構造を表す―文を学習者に作成させ,それを参照しながら演算を選ぶ訓練に加えて,訓練時に誤答した児童に問題の構造について指導する介入を追加した。さらに,改良版のプログラムを用いて訓練実験を行い(目的(3)),プレテスト-ポストテスト間での成績の向上を確認した。今後は,文章題解決の遂行が向上した被験児としなかった被験児との違いについて,さらに検討していく。その際,訓練実験の中で得られたデータに加え,実験に先立って実施した予備テストで得られたデータ,具体的には,解決に必要な知識の獲得状況と,紙筆状況での問題解決レベルおよび解決方略についてのデータをも利用して,多角的に分析を行っていく予定である。 研究結果の詳細は,平成13年度の日本教育心理学会および日本心理学会で発表予定である。
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