2000 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における清潔感および美粧行為の質的・量的検討
Project/Area Number |
12710071
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
伊波 和恵 文京女子大学, 人間学部, 助手 (90296294)
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Keywords | 高齢者 / 化粧 / 清潔感 |
Research Abstract |
目的 清潔感を保つことは、自尊心の側面からも、高齢者の生活の質(QOL;Quality of Life)の維持につながると考えられる。これらの関連性を明らかにするために、本年度は、成人、とくに高齢者が、主観的感情としての清潔感をどのように認識し、その維持のためにどのようなニーズをもつのかを量的・質的に把握することを目的とした。 方法 1.老人保健施設入居女性109名(平均82.3歳、年齢範囲=65〜93歳)を対象とする、化粧および整容に関するききとり調査にもとづき、該当する項目について分析した(伊波・浜,2000)。さらに、その一部を、老人保健施設入居女性における、過去の化粧習慣と美粧へのニーズに関する研究としてまとめた(Inami & Hama,2000)。2.清潔感に関する自由記述調査を、(1)女子大学生156名、(2)看護婦・保健婦99名、(3)40代以上の在宅の成人63名、という3群を対象に行った。 結果および考察 1.高齢女性における化粧のイメージ:筆頭回答について、印象の好悪、無関心と3分類したところ、各群の人数は、それぞれ58・21・16名となった。好印象群では、受けた教育やしつけにもとづく女性観・価値観を反映する回答が多数を占めた。一方、悪印象群には、高コストが理由に挙げられたほか、個人の好みや、年齢を理由とした諦念が反映されていた。また、同一対象者内での複数回答を検討したところ、好印象→悪印象の発言パターンが「年寄りだから、もはや仕方のないこと」というかたちで表現されやすかった(14名)。このような両価的な態度は、加齢に伴う自らの状況の変化への自覚にもとづき、次第に化粧から離れてゆく過程を示唆しているように思われた。2.現在なお、詳細については分析中であるが、不快感情にもとづいて、清潔感について記述する傾向が、いずれの群においても認められた。
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[Publications] 伊波和恵,浜治世: "高齢女性と化粧-化粧の臨床心理学的適用の方法および実践-"繊維機械学会誌(繊維工学). 53(6). 222-228 (2000)
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[Publications] 伊波和恵: "介護の技法-高齢女性への化粧プログラム-"介護の本音ジャーナル. 3(8). 58-74 (2001)
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[Publications] 回想法・ライフレヴュー研究会(編): "回想法ハンドブック-Q&Aによる、計画、スキル、効果評価-"中央法規出版. 212 (2001)