2000 Fiscal Year Annual Research Report
思春期の摂食障害傾向の形成に及ぼす身体的発達とメディア情報摂取の影響の検討
Project/Area Number |
12710075
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
木村 隆代 (向井 隆代) 聖心女子大学, 文学部, 助教授 (00282252)
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Keywords | 思春期 / 身体的発達 / 摂食障害傾向 / メディア情報摂取 / 縦断研究 |
Research Abstract |
平成12年度は、まず、質問紙調査の準備として、メディア情報摂取尺度を作成し、信頼性と妥当性の検討を行った。また、児童用の性役割観スケール(Boldizar,1991)の日本語訳を作成した。次に、これらの尺度と身体的発達、身体像(描画とシルエット画)などからなる調査票を作成し、小学校5,6年生の女子児童412名を対象に実施した。データ入力は終了し、現在SPSSを用いて解析中である。現時点での主な解析結果は以下の通りである。 1.身体的発達の段階が進んでいる児童ほど、自己の身体像への不満が強く、問題摂食がやや多く、全体として摂食障害傾向が高いといえる。既潮群(対象者の約60%)と未潮群の比較では、既潮群のほうが摂食障害傾向が高かった。これらの結果は、中学生以上を対象としたこれまでの研究結果から予測された通りであるが、小学生においても痩身願望と問題摂食が蔓延していることを裏付ける結果となった。 2.身体的発達の段階が進んでいる児童ほど、メディア情報の摂取量が多く、メディアにより多くの関心を向けていることが示唆された。メディア情報摂取量と身体像の間にも関連が認められ、自己の身体像への不満が強い児童ほどメディア情報の取り込みも多いことがわかった。 今後の解析では、身体的発達段階、メディア情報摂取量、および摂食障害傾向の関連を重回帰分析を用いて検討する。さらに、性役割観がメディア情報摂取量と摂食障害傾向との間の介在因子として働く可能性についても検討する。 平成13年度の研究計画 本年度の調査対象者に対し、10ヶ月後に追跡調査を行い、本年度の結果をふまえて縦断に検討する。
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