2000 Fiscal Year Annual Research Report
使用説明書の標識化とそれによる手順理解の支援に関する認知心理学的研究
Project/Area Number |
12710082
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Research Institution | Osaka Gakuin University |
Principal Investigator |
山本 博樹 大阪学院大学, 流通科学部, 助教授 (30245188)
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Keywords | 使用説明 / 標識化 / 手順理解 / 支援 |
Research Abstract |
標識化の学習支援効果についての知見が蓄積されつつある。一般に、使用説明書では、手順が切り替わる際にステップの切れ目は明示されない。しかし、それを見逃してしまうと、手順構造をとらえることができなくなる。標識化は文章の構成構造を強調し受け手の知識獲得を支援すると示唆される。これまで、筆者の一連の研究から、標識化が基準となる構造形式を明示し順序構造のズレを明示すること、受け手の読解方略を変更させ構造方略を促すこと、受け手による修正方略の使用を支援し順序構造の理解を質的に高めること、が示された。標識化の学習支援効果が順序構造の理解においても認められたことから、使用説明書の手順理解においても、同様の効果が予想される。そこで、使用説明書の標識化が手順構造の理解に支援的な効果をもたらすかどうかを検討するために実験を計画した(平成12年度の目的)。 大学生50名を25名ごとに2群を構成し、一方を標識有条件、他方を標識無条件とした。住居設備品(「照明器具の取付」)の使用説明書を課題に用いた。使用説明書には、手順の切れ目を標識化したタイプ(標識有タイプ)と、手順をそのまま表現したタイプと(標識無タイプ)とを作成した。標識化の有無以外は同一である。手順理解を評価するために、理解テストとして、標識の再認課題、手順の配列課題、手順の再構成課題を行った(以下では、配列課題の結果を中心に説明)。被験者の配列が正順とどれくらい相関しているかを得点化した上で、条件差を検討した。その結果、配列課題の結果からは、標識化が手順理解に効果をおよぼすことが示され、標識化の学習支援効果が検証された。他の課題での検討がこれからの課題である。また、それらを総合的に検証した上で、高齢者を被験者にした実験につなげることが平成13年度の目標である。
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