2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12710086
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Research Institution | Oita Prefectual College of Arts and Culture |
Principal Investigator |
藤田 文 大分県立芸術文化短期大学, コミュニケーション学科, 助教授 (50300489)
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Keywords | 仲間関係 / 交代制ルール / 幼児期 / 社会性の発達 / 幼児の遊び |
Research Abstract |
今年度の研究目的は、幼児の仲間関係調整に重要な役割を果たす交代制ルールの成立に、ゲーム課題の難易度がどのような影響を及ぼすかを明らかにすることだった。 保育園の4歳児26名、5歳児32名を同年齢の二人一組にして市販の魚釣りゲームで遊ばせ、その様子を10分間ビデオ録画した。この際、被験者を難易度の異なる2種類のゲーム条件に振り分けた。簡単条件では釣り糸がプラスチックの棒状で釣りやすく、困難条件では釣り糸がひも状で揺れるため釣りにくくなっていた。困難条件の方が待ち時間が長くなり交代性ルールが成立しにくいのではないかと予想された。 ビデオ録画された被験者の行動を分析した。その結果、全条件で全体的に交互交代行動が成立しており、魚釣りゲームで課題が困難な状況でも4・5歳児は交代制ルールを共有することが示された。 次に、交代制ルールの基準を検討した。魚が釣れたことを基準に交代している場合を「外的基準」、外的基準が明確でない場合を「内的基準」とした。全体的に外的基準交代が多かったが、4歳困難条件のみで内的基準交代が多かった。また、交代する際の主導者を検討した。実行者が竿を渡す場合を「実行者主導」、待機者が竿を取る場合を「待機者主導」とした。4歳・5歳簡単条件、5歳困難条件では「実行者主導」が多かったが、4歳困難条件は「待機者主導」が多かった。さらに、4歳と5歳の困難条件では明らかに交代制ルールに違反するいざこざが多く見られた。 以上の結果から、課題が困難な状況でも4・5歳児は全体的には交代制ルールを成立させること、しかし、交代の基準や主導者、ルール違反に課題の難易度が影響しており、その影響は4歳児において大きいということが明らかになった。
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