2001 Fiscal Year Annual Research Report
中国の都市社会におけるセーフティネットの現状と家族の戦略
Project/Area Number |
12710109
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
三橋 秀彦 亜細亜大学, 国際関係学部, 講師 (20306509)
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Keywords | 中国 / 生活保護 / 社会保障 / 社会学 / 貧困 / 社会調査 / セーフティーネット / 失業 |
Research Abstract |
中国の都市社会におけるセーフティネットである「最低生活保障制度」について、フィールド調査に基づきその具体的実施状況を調べたのが本研究である。プロジェクトの2年目にあたる平成13年度は、本研究の中心的作業となるフィールド調査を中心に作業を行った。研究協力先である国務院発展中心の協力を得て、まず、7月に北京市近郊で、貧困家庭を訪問することで、現時点で実際に貧困家庭が抱える問題とは何かを確定するための予備調査を実施した。その結果を受けて、8月中旬から下旬にかけて研究代表者である三橋が訪中し、中国側と協議しながら調査結果を踏まえ本調査用のアンケート票を作成した。本調査として、9月上旬、調査地である遼寧省錦州市で、市政府と住民組織である居民委員会の協力を得ながら、100戸の貧困家庭を抽出し、アンケート調査を実施した。調査方法としては、アンケート票については、家庭の貧困状況全般を調べる家庭用と、老人・成人・青少年のそれぞれの生活状況を調べる個人用とを用意した。また、貧困家庭では調査票に記載されている社会保障に関する用語が必らずしも正確に理解されないだろうとの懸念から、本調査では調査員が個別に貧困家庭を訪問し記入しでもらう個別訪問面接法を採用した。調査地である錦州市のような地方工業都市は、北京や上海のような大都市とは異なり財政上の基盤が乏しく、他方で雇用の吸収先となるべき優良企業、成長部門がないことから国有企業改革の痛みが強く出ているとされる。本研究では、中国各地に遍在するそうした地方工業都市における貧困の具体相を明らかにし、公的セクターの保障が期待できない状況下、自助努力として生活のために家族はどのような社会的、経済的戦略をとっているのかを探求した。現在、すでに解析結果が出たので、文章化の作業を行っている。
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