2000 Fiscal Year Annual Research Report
中山間地域におけるネットクーキングと生活戦略に関する実証的研究
Project/Area Number |
12710119
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
寺岡 伸悟 甲南女子大学, 文学部, 助教授 (90261239)
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Keywords | 中山間地域 / ネットワーク / 地域情報化 |
Research Abstract |
本年度は、農村・都市ネットワーキングの事例を出来る限り多く蒐集することを心がけた。力点を置いた点は、地域情報化、農村観光・リゾート、そしてIターンである。 まず地域インターネットなどの地域情報化によって、これまでの「地域社会」の範囲の再考を迫る動きが生じている。これが近い将来の自治体合併の論議と絡めて語られる傾向が急速に強まっていることが確認された。 また農村観光・リゾートでは、温泉ブームなどの「癒し」・健康ブームを引き金に、農村の人や地場産業との「関わり」の中から、都市生活では得られない「充足感」を求める傾向が見られ、この種のレジャー行動が都市・農村ネットワーキングにおいて、重要な可能性をもつことが明らかとなった。 さらに、Iターン者およびその家族への調査を実施した。例えば、奈良県吉野郡では森林組合が、専用住宅を建設してIターン者の受け入れを行っている。調査の結果、Iターンには、第一次産業への就業や自然を志向してくるタイブと、主に都市部での生活不安を解消することを主たる動機としてくるタイブの二種類に大別できることがわかった。さらに、本来的には積極的Iターンとみられる前者においては、むしろ地域共同体への否定的な評価もみられるのに対し、消極的Iターンとみてもよい後音では、自然相手の就業や地域の密接な人間関係が肯定的に捉えられているケースも見出された。これらは、過疎地域活性化のための、都市から農山村への移住の促進と定着を考えるときに見逃せない点であると考えられる。従来、農山村側から行われてきた地域の「魅力」、農山村定住の「利点」の提示、さらにリクルートの方法が、必ずしも適切ではなかった可能性を示唆している。これらは西吉野村だけに留まらず、農山村一般にいえる可能性も高い。
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Research Products
(1 results)