2001 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本農村社会の女性たちが作り出すネットワークと家・ムラとの緊張関係
Project/Area Number |
12710127
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Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
つる 理恵子 吉備国際大学, 社会学部, 講師 (20227474)
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Keywords | 農家女性 / ネットワーク / 性別役割分業 / 男女共同参画 / 労働の主体性 / 家・ムラとの緊張関係 / 社会変革 |
Research Abstract |
平成13年度は、12年度の補充調査を行いつつ、2つの学会で報告をした。1つは、日本民族学会第53回年回(2001. 10. 7)で「村落の生業の連続と非連続ー農家女性による農産物・加工品の生産・製造・販売のとりくみとムラー」。もう1つは、第49回日本村落研究学会(2001. 11. 10)で「現代日本農村社会の女性たちの活動と家・ムラとの緊張関係」。 本研究では、農家女性は都市の女性とは異なる固有性をもつのではないかという前提に立ち、(1)家・ムラとの関係をどう調整するか、(2)生活と生産の一体化をどう解釈するか、(3)夫婦間の役割分業をどう考えるか?の3点に着目してきた。 その結果明らかになったことは、農家女性たちは自らが新しいタイプの生き方(責任を持って何かをやりとげることの大変さと喜び、自分の労働に対する正当な報酬などを知っている。夫と妻、お互いを尊敬し尊重し合う、対等な関係性)を模索・実践しており、その過程で新しい農業のタイプ(農作物の生産だけではない。生産・加工・販売、都市との交流、仲間作り・・。)を創造し、地域を動かしつつあること。さらに、農家女性にとって「いきいきとした暮らし」とは、職・農・地域の結びつきの全体として暮らしが存在していることである。 現代日本の農家女性をとりまく現状をまとめると、夫をはじめとする家族の協力により、その活動が広がってきている。ムラも、一律に女性を後回しに、という考え方は希薄になりつつある。今や、農家女性たちは確実に家族の協力を得、ムラ内でも力を発揮。女性と男性とで協力しあって農業、農村を作っていく動きが、大きな流れになりつつある。 残された研究上の課題として、(1)家族を作らない人は、どうなるのか?、(2)農村型男女共同参画の中身、(3)性別役割分業の農家型乗り越えかた、がある。
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