2000 Fiscal Year Annual Research Report
教師の「子ども理解」規範を効果的に活用する学校組織に関する研究
Project/Area Number |
12710140
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
安藤 知子 上越教育大学, 学校教育学部, 助手 (70303196)
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Keywords | 子ども理解規範 / 学校の組織特性 / 教師の職能成長 / 教師像の転換 / 子どもとの共犯性 |
Research Abstract |
本年度は、「子どもとの共犯志向」の強弱という操作概念を設定し、それによって子ども理解規範を類型化することを目的として以下の作業を行った。 第一に、子ども理解規範を強調する先行研究、実践的記述物などを収集し、学校の中での子ども理解規範の在り方について、詳細な読解を試みること。第二に、実在するいくつかのタイプの教育者への聞き取り調査を通して、子ども理解規範と学校組織の目標との矛盾の内実を明らかにし、矛盾解決の方向性を探ること。第二の作業は、十分な聞き取り調査が実施できなかったので、今年度は過去の観察調査のデータを主として使用しつつ、試論的な考察を行った。以上の作業の結果、得られた成果は以下の2点である。 第一に、子ども理解規範は、歴史的な変遷を経て、現在はどちらかといえばカウンセリング理論に学ぶ子どもの心理や心情の理解のことであると考えられる傾向があること。そのために子ども理解規範の構成要素としては、「感覚的かつ全面的な心情の理解〔受容〕」「価値観や世界観の共有〔共感〕」「一人一人へのまなざし〔個別的配慮〕」といった諸点が条件として意識されやすい傾向にあること。 第二に、しかし学校現場では、教師-生徒関係の非対称性や、個業と協業から構成される学校組織の特性ゆえに、純粋にカウンセリング理論の諸条件を満たす子ども理解が困難であること。そこから、実際の教師の子ども理解表現には、学校教師であることと矛盾しない子ども理解規範を形成し内面化しているタイプと、矛盾を抱えたまま学校教師であるという条件認識を無意識に回避しているタイプとがあり得ることが見いだされた。こうした子ども理解表現のタイプの相違については、今後「子どもとの共犯性」を尺度としてさらに精緻化した類型化を試みる予定である。
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Research Products
(1 results)